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繊細で丁寧、ごまかしのない日本人の踊り──世界に誇る高品質はバレエの世界にも

菘あつこ フリージャーナリスト

 6月末、またバレエの世界の日本人快挙のニュースが飛び込んできた。アメリカ、ミシシッピ州のジャクソンで、1979年から4年に一度行われている「ジャクソン国際コンクール」で、日本人が金・銀のダブル受賞をしたのだ。金賞を受賞したのは、英国のイングリッシュ・ナショナル・バレエのソリストとして活躍中の加瀬栞さん、銀賞はアメリカ、ワシントン・バレエで活躍中の宮崎たま子さん。こう書いて分かるように、二人とも既に日本を飛び出して活躍しているプロダンサー。このコンクールは、モスクワ、ヴァルナ(ブルガリア)と並び世界三大バレエコンクールに数えられるコンクールで、モスクワやヴァルナもそうなのだが、シニア部門にはプロダンサーも多数出場する。

 今年に入ってから、ローザンヌ国際バレエコンクールでの1位、2位、6位が日本人、ブノワ賞を木田真理子さんが日本人初受賞と、バレエの世界での日本人活躍のニュースが続いている。ただ、ジャクソンの日本人金賞については、実のところ初めてのことではなくて、1994年には佐々木大さんが、2006年には現在ボストンバレエプリンシパルの倉永美沙さんが獲得している。二人とも大阪出身で、関西でバレエ取材を続ける私にとって馴染み深いダンサーなのだが、彼らのジャクソン受賞時は、(取り上げて当然の大きな賞なのに)一般的な新聞やテレビでこんなに取り上げられることはなかったなと振り返ると、日本のマスコミもバレエに目を配ってくれるようになったのだと、ちょっと感慨深い。

 さて、どうして、今、日本人の受賞が続くか考えてみたい。上に書いたようにこれまではニュースにならなかっただけという面もあるが、増えていることも確かだろう。このなかでローザンヌは登竜門としての教育的なコンクールで、既に良い学びの場を得られている国の優秀な若手は出場しないということで、ちょっと横に置いておいて、ブノワ賞やジャクソンについて考えてみる。

 真っ先に思い浮かぶのは、当たり前のことながら、踊りのレベルが高い日本人ダンサー

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