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大リーグの投手上位時代にはまったロイヤルズ・青木の活躍

出村義和

 青木宣親の所属するカンザスティ・ロイヤルズが29年ぶりのワールドシリーズ制覇に向けて快進撃を続けている。開幕前にも地区3連覇の本命デトロイト・タイガースに対抗するチームとみられていたが、ポストシーズンで勝ち残っていくには力不足というのが現地メディアの評価だった。実際、地区優勝をタイガースと激しく争ったものの2位にとどまり、ポストシーズンに進出したのはワイルドカード枠でのものだった。

 ロイヤルズは典型的な守備型のチームだ。

 長打力のない打線が足を絡めた攻撃で得点を挙げ、強力ブルペン陣で接戦を逃げ切るというのが昨年来の勝ちパターン。今年も盗塁数はリーグトップだったが、ホームラン数はリーグワースト。ブルペン陣は7回、8回、9回と1イニングずつ抑える投手3人が揃って防御率1.50以下という完璧といってもいい働きをみせた。

 そんなチームに青木はものの見事にフィットした。昨オフ、一番打者に適任者がいないということで、ロイヤルズは青木をミルウォーキー・ブルワーズからトレードで獲得した。

 故障などもあって、前半戦は本来の粘り強い打撃もスピードも十分に発揮するところまでいかなかったが、後半戦に入ると調子を取り戻し、期待に応えるように打率3割を超える活躍をみせた。9月に入ると、打順が一番からつなぎ役となる二番に変わり、これによってバントなどの小技が利く青木の存在が一層際立つようになった。レギュラーシーズンにおける青木の成績は打率2割8分5厘、1ホーマー、43打点、17盗塁と目立つような数字を残しているわけではないが、「役割をしっかり果たし、大いに貢献してくれた」とネッド・ヨスト監督は満足げだ。

 10月のメジャーリーグに大旋風を巻き起こしているロイヤルズとは対照的に、ニューヨーク・ヤンキースは2年連続ポストシーズン進出を逸した。その敗因はいくつもあるが、そのひとつにイチローという名手をうまく使いきれなかったことにあるような気がする。同型といえる青木が溌剌としたプレーをみるにつけ、その思いを強くする。

 現在のメジャーリーグは違法薬物が厳しく制限されてから、打者上位のホームラン時代から低得点試合の増加がみられる投手上位時代に変わった。実際、 ・・・続きを読む
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筆者

出村義和

出村義和(でむら・よしかず) ジャーナリスト

ジャーナリスト。1950年、東京生まれ。法政大学社会学部、ユタ州立大学ジャーナリズム科卒。ベースボールマガジン社でアメリカ総局特派員、週刊ベースボール編集長などを務め、86年からフリー。ニューヨークを拠点に、スポーツから政治、ビジネスまで幅広い範囲をカバー。2005年に帰国後、新聞、雑誌などに執筆する一方で、スカパー!「MLBライブ」の解説を務め、09年からはJスポーツでMLBの解説者となる。著書に『英語で聞いてみるかベースボール』『メジャーリーガーズ』など。

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