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世界の入口に立つためにLINEが必要なこと

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

 3年前にはまったく認知されていなかったインターネット・コミュニケーションサービス「LINE」が2014年10月現在の登録者数は全世界で5.6億人、うち月1回以上のアクティブユーザー数は1.7億人、日本だけでも登録者数5000万人強、そのうち59%つまり約3500万人が「毎日利用している」、という規模に拡大した。こうしたサービスの常のとおり、日本の若者のコミュニケーションを席巻し、犯罪の温床になるなど影の部分もともなって、ケータイキャリアによる音声通話やメールに代わって、若者のコミュニケーションのデファクトとなっているようだ。

 ビジネス面から見てみると、当初から現在まで韓国資本100%、開発メンバーも多国籍とのことだが、日本国内で開発された経緯、世界の行政機関の中で日本政府が最初に公式アカウントを開設した経緯、もあって、LINEの成長を日本代表のグローバルサクセスだとほめたたえる声もある。収益源はゲーム課金6割、スタンプ課金2割、公式アカウントやスポンサードスタンプなどが約2割、とのことだが、一般に受け取られているサービスのメリットは無料音声通話と無料のグループチャット機能であり、だからこそ5億人向けの
サービスにして売上(アップルやグーグルへの手数料を除く実質の収入)は343億円(2013年度)、2014年度見込みも700億円程度の規模にとどまっている。

 株式上場の報道もあったようだが、時期尚早として日本と米国での2014年内の上場を見送っている。この見送りは何か、伸びしろがあるとして何を待っているのか、をLINE利用経験も思いこみもまったくない筆者が、ユーザー目線での整理をしてみる。

 国勢調査ベースに割り付けて「日本の縮図」を再現したアンケート調査(2014年1月実施)を見てみると、

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