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柔軟なシステム変更と巧みな人事マネジメント

サッカー日本代表、アギーレ監督の布石は1月のアジアカップにつながっている

 「日本サッカー協会が事情聴取」という勇み足報道などアギーレ監督に対する風当たりが強くなったとたん、サッカー日本代表はホンジュラス、豪州に連勝した。形勢が悪くなった批評家は、「ザッケローニ前監督の遺産にすがった」とまるで進歩がないような表現で食い下がったが、アギーレ監督の布石は着実に1月のアジアカップにつながっている。

 ザッケローニの遺産、と言われた理由は二つある。

 一つは遠藤、長谷部、今野といったベテランの主力級を先発メンバーに戻したこと。もう一つは豪州戦でDF4人、守備的MF2

オーストラリア戦で今野が先制ゴール=11月18日、長居陸上競技場オーストラリア戦で今野が先制ゴール=11月18日、長居陸上競技場
人、攻撃的MF3人、FW1人の「4231」システムを試合の途中から採用したことだ。「4231」はザッケローニ監督が使い続けた布陣だった。

 ところがよく見れば、アギーレの「4231」とザッケローニの「4231」は別物であることがわかる。ザッケローニ監督は選手の並び方を固定し、球を敵陣ゴール前に運ぶまでの手順や、守備の形を確立させようとした。

 アギーレ監督は、攻撃時と守備時の選手の配置を変える戦い方をしている。記者会見などで布陣をDF4人、MF3人、FW3人の「433」だと説明しているが、実際は、攻撃のときにはDF3人、MF4人、FW3人の「343」、守備のときにはDF4人、守備的MF1人、攻撃的MF4人、FW1人の「4141」という二つのシステムを流動的に併用している。

 豪州戦の序盤は、日本がDF3人で球を保持しながら攻撃を組み立てようとしていたのに対し、豪州がFW3人で球を奪いに来たため、苦しい展開になった。そこで攻撃を始めるときの形を

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