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1月11日に全国で「ダムネーション」市民上映

「自由な川の日」にダム撤去を訴え

樫村愛子 愛知大学教授(社会学)

 

同乗取材した群馬県警ヘリから見えた同県長野原町の八ツ場ダム建設予定地周辺。国道のバイパスや渓谷に架かる橋など構造物が目立つ=2014年10月拡大同乗取材した群馬県警ヘリから見えた同県長野原町の八ツ場ダム建設予定地周辺。国道のバイパスや渓谷に架かる橋など構造物が目立つ=2014年10月
民主党政権下でいったん中断されていたダム工事が、全国で再開されつつある。が、民主党政権時にも主張されていた、ダムの機能評価の低さ、利権事業性、自然破壊などを訴えて、ダム建設反対運動は今も日本全国で続けられている。

 アメリカで制作されたドキュメンタリー『ダムネーション』(製作責任者はパタゴニア創業者のイヴォン・シュイナード、共同プロデューサーは生態学者で水中写真家のマット・シュテッカー)は、ダム撤去することでどのように生態系が蘇るかを伝えようとした、ドキュメンタリーと社会運動の結合体のような映画である。

 マム・シュテッカーによれば、実際、フィンランドで上映されたとき、そこに来ていた俳優の働きかけで、15分間議会でスピーチする機会を得、その2日後にダム撤去が決定されたという。百聞は一見に如かずというわけで、アメリカでの現実のダム撤去の動きを見せて、ダムに対する古いイメージを文字通り「爆破」していこうとするのである。

 マム・シュテッカーは、ダムがもたらす恩恵はたくさんあったが、今となっては時代遅れの技術だとし、アメリカではこれまでにすでに1000基以上のダム、年に50基のダムが撤去されつつあるという。日本も同じ流れになれればと願うと語る。50人以上にインタビューし(賛成派にもインタビューを申し込んだが、断られたと述べている)、8基のダムを取材した。「アメリカでは現在何万基ものダムが事実上役に立っていません。壊しても悪影響はないのです。アメリカで多くのダムが作られた時代、太陽光発電は存在しませんでした。エネルギー効率の優れた風力発電など、ダム以外の発電方法や川の水を地下に貯水する方法もなかったのです。今は脱ダムに至るトランジションの時代なのです。」(インタビュー映像は、http://www.japangreen.tv/ch05water/12517.html)。

 川を連想させる、「1.11」の日に「川を自由にしよう」と「自由な川」の日を設定、この日に、全国の市民上映会が行われる。

 2014年11月から安威川ダムの建設が再開された大阪府茨木市の「DAMNATION上映会」、2015年1月から本体工事が着手されるといわれている八ッ場ダム(群馬県)の地元の「八ッ場あしたの会、八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会」、「STOP八ッ場ダム・市民ネット」、愛知県の「設楽ダムの建設中止を求める会」など、反対運動を行っている市民団体から、またさまざまな環境問題を考える団体まで、上映会が反対運動や環境運動と繋がることが強く意識されている。

 設楽ダムは、私の住む豊橋、豊川流域(愛知県)の地元の問題で、 ・・・続きを読む
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筆者

樫村愛子

樫村愛子(かしむら・あいこ) 愛知大学教授(社会学)

愛知大学文学部社会学コース教授。1958年、京都生まれ。東大大学院人文社会系研究科単位取得退学。2008年から現職。専門はラカン派精神分析理論による現代社会分析・文化分析(社会学/精神分析)。著書に『臨床社会学ならこう考える』『ネオリベラリズムの精神分析』、共著に『リスク化する日本社会』『現代人の社会学・入門』『歴史としての3・11』『ネオリベ現代生活批判序説』(新評論)など。

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