フィギュアスケートを進化させるチャンピオンに
2015年04月06日
ショートプログラムに比べれば、フリーは演技時間が長い分、病み上がりの身体には厳しかったのだろう。繊細さの極地を見せるショートに対し、ファントムの男らしさを演じなければならないフリー。プログラムの性質の違いもあった。
プログラム序盤で、ふたつの4回転を落としたことも大きい。
そこで体力が奪われ、呼吸が乱れ、全体の流れを作ることも難しくなる。4分30秒を通して、どうしても力強さの感じられない演技になってしまう。
それでもひとつひとつの動きをおざなりにせず、ポイントを稼ぐためのエレメンツも、ポイントに直接は繋がらないイナバウアーなども、きっちり見せた。ジャンプも4回転以外、ほぼミスをしなかった。あの身体で、今の彼にできることはすべてをやりきったのだ。
最後のキャメルスピン。あのポジションを規定回数まわりきるまでキープすることが、今の彼の身体に、どれだけきつかったことか……。
しかし何度でも書くが、オリンピックチャンピオンのプレッシャー、モチベーションのキープの難しさ、そして満身創痍のこの身体で、2位がどれほど凄い結果だったことか。羽生結弦、やはり恐ろしい男だ。
結果が出てから表彰式までの間――「連覇を逃した」男は、号泣していたという。
そして涙が乾いたその瞬間から、
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください