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嘉田前滋賀知事「川内再稼働は倫理的に許せない」

小沢一郎氏と組んだ本当の理由は脱原発結集、元スタッフの武藤議員は「遅刻の常習犯」

前田史郎 朝日新聞論説委員

インタビューに答える前滋賀県知事の嘉田由紀子びわこ成蹊スポーツ大学長=2015年8月4日、大津市拡大インタビューに答える前滋賀県知事の嘉田由紀子びわこ成蹊スポーツ大学長=2015年8月4日、大津市
 「卒原発」をかかげて脱原発勢力の結集をよびかけた嘉田由紀子・前滋賀県知事(65)が、知事を引退して約1年がすぎた。九州電力川内原発が再稼働し、原発回帰が進むなか、今も脱原発を訴え続ける嘉田氏は安倍政権の原発政策をどうみるのか。3年前の小沢一郎氏との連携失敗の総括とあわせ、聞いた。

 ――川内原発が再稼働しました。かつて知事として「卒原発」を訴えた立場から、安倍政権の原発政策をどう見ていますか。

 私には再稼働の必要性がわかりません。命の危険や経済の危機が差し迫っているわけでもありません。福島の人たちの苦しみは軽減されていないし、環境は破壊されたままです。廃棄物の処理のメドもたたず、次世代に先送りです。倫理的に許せないことだと考えています。

 ドイツのようにすぱっと決断できないのがもどかしいです。地震、津波の災害列島でリスクはドイツより高いのに。福島の事故で目をさまして欲しいです。未来の党結党のときに発表した「びわこ宣言」で書いたように、地球市民として日本は原発をやめるべきです。自民党の中にも河野太郎さんのように再稼働のあり方に疑問を抱いている人はいますが、大きな流れにならないのが残念です。

 ――世間には脱原発を求める声が根強くあります。一方で安倍政権は原発回帰の方向性を強めています。世論と政治とのギャップをどう受け止めますか。

 原発事故で被害を受ける側の要望や思いは、残念ながらなかなか行政に届かない。そこが日本の政治のおかしなところです。知事になってよくわかりましたが、知事は毎日のように団体の陳情を受けます。建設業や農業、森林関係など。入ってくるのは主に生産の供給者側の声です。原発でいえば電力会社や、原発でお金がもうかる人たち。それが政治の世界では圧倒的な多数の声ですね。

 環境問題で「受益圏」と「受苦圏」という言葉があります。新幹線でいえば利用する人は受益、沿線で騒音に悩まされる人は受苦。この考えから、私は「被害地元」という言葉を考えました。若狭湾で原発事故がおきたら被害を受けるのは立地地元だけではない。風下の琵琶湖が汚染され、その水を飲んでいる地域、近畿1450万人に被害は広がる。だから福島の被災は他人事ではありません。

 ――3年前に嘉田さんは日本未来の党を旗揚げしましたが、衆院選挙で議席をのばせず、敗北しました。元民主党代表の小沢一郎さんと手を組んだ一連の行動をどう総括していますか。

 原発をどうするかが問われるべき選挙なのに、争点化されていなかった。民主党は党内の意見がまとまらず中途半端で、「2030年代にゼロ」というのがせいいっぱい。だから未来の党を立ちあげた。でも、その民主党に邪魔された。「小沢憎し」で、未来の党をつぶせーです。未来の候補者がいる小選挙区に民主が対抗馬を次々と立て、票が割れた。今の自民の一強多弱の状況を作ったのは当時の政治的対立だと私は思っています。

 ――小沢さんと組まれることに抵抗はなかったのですか。

 2012年9月末に岩手の達増知事の紹介で小沢さんが関西に来られたんです。脱原発グループをまとめたいので嘉田さんが国政に出てくれないかと。でも県政が忙しいのでことわりました。

 約1カ月後の10月に京都の東山で再びお会いした。小沢さんがよく行かれるお店でした。やはり私のこたえは「あきまへん」です。3回目は11月24日。衆院の解散直後です。京都の都ホテルで、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也さんも同席し、2時間くらい断り続けました。

 ――小沢さんはどういう言い方をしたんですか。

 話の最後であの方はこう言ったんです。「100はとれる」と。 ・・・続きを読む
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筆者

前田史郎

前田史郎(まえだ・しろう) 朝日新聞論説委員

朝日新聞論説委員。1961年生まれ。神戸、広島支局、東京・大阪社会部で事件や行政、核問題、厚生省クラブなどを担当。社会部デスク、教育エディター、大阪・社会部長、同編集局長補佐、論説委員、編集委員、論説副主幹(大阪駐在)を経て18年4月から現職。気象予報士。著書に『核兵器廃絶への道』(共著)。

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