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個人と団体で五輪出場枠を獲得、新体操の大躍進

世界と競う妖精たち「フェアリージャパン」を育てた過酷な合宿トレーニングと心意気

増島みどり スポーツライター

種目別リボンで獲得した銅メダルと掲げる新体操日本代表の団体メンバー=2015年9月15日、東京・渋谷の岸記念体育館拡大種目別リボンで獲得した銅メダルと掲げる新体操日本代表の団体メンバー=2015年9月15日、東京・渋谷の岸記念体育館
 凱旋報告は実に質素な、金屏風もひな壇もない会場で行われたが、主役たちの「凛」とした美しさは逆に、一切の装飾を必要としないように見えた。

 9月上旬、ドイツ・シュツットガルトで行われた新体操の世界選手権で愛称「フェアリー(妖精)ジャパンPOLA」は団体(5人)で5位に入って来年のリオデジャネイロ五輪の団体出場枠を獲得。個人でも皆川夏穂(18=イオン)が15位となり、3大会ぶりの個人出場枠も手にした。さらに団体種目別のリボンでは、40年ぶりの銅メダルを獲得するなど大きな成果とともに帰国した妖精たちに隙はなかった。

  写真撮影に応じる際のモデルと同じ立ち方、姿勢、目線の送り方に、化粧品メーカーの看板を背負うにふさわしい気品のあるメイクと、典型的な日本人のプロポーションとは違う姿には改めて驚かされる。しかし本当に驚かなくてはいけないのはその翌日、五輪出場枠獲得に息つく間もなく、東京・北区の国立スポーツ科学センター(JISS)で合宿をスタートさせていた姿のほうである。

  ナショナルチームメンバーの代表は現在9人。彼女たちは全員が通称「JISS」の住居棟で共同生活をしながら、毎日合宿を行う。帰国直後、午前中に同施設の新体操練習場に入ると、バレエレッスンやストレッチと、練習の前の準備に入念な時間を割いていた。大きな仕事を成し遂げて帰国したばかりなのに疲れていないのだろうか。時差もあるだろう。若い女性たちは、少しはサボりたいなんて思わないのだろうか。そんな甘い考えを抱きながら練習を見ていると、激しい練習が行われるにも関わらず全員が健康的なメイクをしっかりと施しているのに気付いた。

  取材者に対し全員で整列し、「きょうは宜しくお願い致します」と、演技の前後のように美しいお辞儀をする。山崎浩子・新体操強化本部長(55)は、練習のほとんどで意外にも声をかけない。コーチも、的確な指示を短くするだけだ。

  「日頃表現しない美しさは、試合で絶対に表現できません。何を意識しなければならないのか ・・・続きを読む
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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

スポーツライター。1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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