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安保関連法案に反対した社会学者の動き

有志の会世話人に江原由美子さんら、社会運動の学際的な研究の場も発足

樫村愛子 愛知大学教授(社会学)

  9月19日、社会学者たちが、早稲田大学での日本社会学会大会時に「安全保障関連法に反対する社会学者有志の会」を発足し声明を出した。「社会学は、現在起きている社会現象のなかに問題を発見し、距離をとって認識を獲得したうえで、その認識が社会の現場や問題とどのようにかかわることができるのかをつねに自省する実践的な学問であり、私たちは社会学者として沈黙を続けることはできません」とし、「私たちは社会学の研究・教育を行う者として、安全保障関連法にかかわるあらゆる問題を問い続けるとともに、社会を構成する一市民として、日本社会に自由と平和を取り戻すために実践を続けていきます」と述べている(http://antiwar-sociologists.jimdo.com)。

 世話人には、フェミニズムの江原由美子、『インパクション』の編集委員で男性学で知られる伊藤公雄、エスノメソドロジ―の研究者で最近では輸入血液製剤によるHIV感染調査を行った好井裕明、「安保関連法案に反対する被災三県大学教員有志の会」の呼びかけ人で新幹線公害論や環境社会学、反原子力社会論(『脱原子力社会へ——電力をグリーン化する』岩波書店)で知られる長谷川公一らである。

「がんばるぞ」と拳を突き上げる「安全保障関連法に反対する学者の会」の大学教員ら=2015年9月20日、東京都千代田区拡大「がんばるぞ」と拳を突き上げる「安全保障関連法に反対する学者の会」の大学教員ら=2015年9月20日、東京都千代田区
 この10日間のうちに賛同者は瞬く間に集まり、9月29日現在ですでに282名となっている。というのも、すでに、「学者の会」の上野千鶴子をはじめ、社会学者は各大学での反安保法案声明の呼びかけ人として活躍していることも多い。小熊英二や宮台真司らの活躍も目立つ。かく言う私も、東海地方で、愛知大学の反安保声明の呼びかけ人となっているし、多くの社会学者の友人がそうである。

 社会運動研究者はどうかといえば、1985年の関東社会学会シンポジウムをきっかけとして設立され、『社会運動論の統合をめざして』 『社会運動の現代的位相』『社会運動研究の新動向』『社会運動という公共空間』『社会運動の社会学』(成文堂)を刊行してきた「社会運動論研究会」が、やはり9月20日に、安保法案強行採決に対する声明を出している。

 「今回の抗議行動は、間違いなく今世紀に入ってからの日本で最大規模のものであり、その広がりの大きさに見合った形で、政治は応答する責任がある。しかし政府与党は、抗議行動の盛り上がりを恐れて連休前に強行採決するという姑息な方法をとった」

 「安保法案に対する反対運動は、他のイシューと比較して別格といってもよいくらいの動員水準に達している。これは、『平和国家』というアイデンティティが、日本にいかに深く根付いているかを示すものである」

 「社会運動が要請する民主主義的な手続きをなきものにし、社会全体に根を張った平和主義を覆す点で、政府与党が無血クーデターをはかったと言われても仕方ない。さらに、反対運動の盛り上がりを『既成勢力の動員』や『一過性の現象』としてみるのは誤りである。日本に ・・・続きを読む
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筆者

樫村愛子

樫村愛子(かしむら・あいこ) 愛知大学教授(社会学)

愛知大学文学部社会学コース教授。1958年、京都生まれ。東大大学院人文社会系研究科単位取得退学。2008年から現職。専門はラカン派精神分析理論による現代社会分析・文化分析(社会学/精神分析)。著書に『臨床社会学ならこう考える』『ネオリベラリズムの精神分析』、共著に『リスク化する日本社会』『現代人の社会学・入門』『歴史としての3・11』『ネオリベ現代生活批判序説』(新評論)など。

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