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広州恒大が映す中国経済と習近平サッカー強国構想

ACL準決勝でガンバ大阪が勝てなかったのは、2戦合計点だけではなかった?

増島みどり スポーツライター

  スーパースター軍団「セレソン」(サッカーブラジル代表)を率いたルイス・フェリペ・スコラーリ監督(66)は、ブラジル時代よりもずい分太っていた。そして勝利コメントにもどこかリッチ感が漂う・・・と表現したら、「ひがみじゃないか」と笑われてしまうかもしれない。

  「ACL決勝のプラン?冗談じゃない、まだ早過ぎる。今はホテルに戻ってゆったりと美味しい食事を取り、ワインを飲んでベッドでぐっすり眠りたいよ。十分にリラックスしてね」

広州恒大とのACL準決勝後半、ドリブルで攻め込むガンバ大阪のFW宇佐美(右)=2015年10月21日、大阪・万博競技場拡大広州恒大とのACL準決勝後半、ドリブルで攻め込むガンバ大阪のFW宇佐美(右)=2015年10月21日、大阪・万博競技場
  21日、大阪・万博競技場で、ACL(アジア・チャンピオンズ・リーグ)準決勝の2試合目が行われ、7年ぶりの決勝進出を狙ったG大阪が、中国のビッグクラブ、広州恒大と対戦した。0-0ながら、アウェーでの2試合合計で1-2と敗れ、夢はついえた。前半からガンバらしい攻撃を見せたが、広州恒大のバックラインは強いフィジカルで体を張ってこれを阻止。ホーム1-0で勝てる条件をクリアできなかった一因には、国内リーグとACLで連戦が続いた過密日程もある。

  しかし取材で実感させられたのは、2013年以来、再びアジアの頂点に立とうとこの試合に賭けてきた広州恒大の凄まじい執念のほうだった。G大阪の分厚い攻撃を跳ね返す堅いDFはもちろん、1万7000人のホーム観戦者のうち4000~5000人を占めた大応援団、日本在住のファンも含め全員に無料で配られたという真っ赤なTシャツ、G大阪が準備したホテルをキャンセルしてまで自分たちで確保した、1泊7万円もする超高級ホテル、チーム関係者全員が同乗するために使ったチャーター便・・・唯一勝てると予想した記者の人数も、アウェーの彼らに負けてしまった。1泊7万円の部屋で、祝杯のための冷えた高級シャンパン。誰だって早くホテルに帰りたいものだ。

  会見にセッティングされた中国のカメラにはクラブ専用チャンネルのものもあった。AFC(アジアサッカー連盟)との権利関係はクリアした上で、クラブはITへ10億円以上を投資しチーム情報をリアルタイムで本国に送る。

 ITへの投資金額もJクラブでは考えられないが、彼らにとっては数十億円など驚く金額ではないだろう。何しろ昨年、新たなスポンサーとして半分の株式を購入したのは、あの「アリババ」(ネット通販最大手)である。

ピッチの中国経済は陰らない

 1954年と伝統を持つクラブはかつて八百長問題に揺れ降格するなど、中国国内リーグでも中心的なクラブではなかった。しかし ・・・続きを読む
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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

スポーツライター。1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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