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なぜ小保方氏は「不公平」と批判するのか(上)

早稲田大の博士号取り消し 論文再提出の過程でもプリンセス扱いだったのに

杉浦由美子 ノンフィクションライター

STAP細胞の論文が不正と認定された問題で会見する小保方晴子氏=2014年4月9日、大阪市北区拡大STAP細胞の論文が不正と認定された問題で会見する小保方晴子氏=2014年4月9日、大阪市北区
 早稲田大学がSTAP細胞論文著者で、元理研の小保方晴子氏の博士号取り消し決定を発表した。それに対して、小保方氏は代理人弁護士を通し、「今回の決定には失望している」「不公平」という内容のコメントを発表した。この小保方氏のコメントに、早稲田は「事実と異なる」という主旨で反論している。今回の博士号取り消しに対する小保方氏のコメントを読むと、実にこの人物がみえてくる。前半では、小保方氏がいう「不公平」という主張への違和感を言及し、後半では、なぜ小保方氏は今回のコメントを発表したのかを考えてみたい。

博士論文はたいてい提出すれば合格する

 博士論文というのは、提出するとたいていは通る。なぜなら、出す前に、指導教官にみてもらうからだ。不備があれば、「ここのデータの処理がおかしいから直せ」というふうに指摘される。そうやって教官の指導の元で、合格できるクオリティにしてから論文を提出するので、まず落ちない。院生が「博士論文が書けない」と頭を抱えている場面にはよく遭遇するが、「博士論文が通らない」と嘆くことは滅多に耳にしない。

 ところが、今回、明るみに出たのは、早稲田においては、そのような研究や論文の指導がちゃんとされてなかったということだ。

 「早稲田は全体的に放任主義で、大学院でもちゃんとした指導がされているとは思えない。特に理系は実験や実習の指導が必要ですが、それができる体制になっていないのでは。必然的におきた騒動だったと思います」(大学関係者)

 放任主義はデメリットもあるが、学生の自主自律を促すメリットもある。今回の不祥事をうけ、早稲田は、2006年以降に学内で博士号が授与された2789本の論文をすべて見直すという作業をした。教員たちの負担はかなり大きかったときく。結果、2789本中89本からコピペ的な不正が見つかった(そのうち、48本は修正して、再提出させた)。つまり、不正が見つかったのは3%で、ほとんどの学生はちゃんとルールを守って、きちんと論文を書いているのだ。

 なぜなら、ちゃんとしたものを書かないと、キャリアに繋がらないからだ。博士号をとった後は、どこかの大学に就職をしたいと考えるわけで、博士論文のクオリティが低ければ、採用されないからだ。早稲田でも小保方氏はイレギュラーな人だったといえよう。

「お前らの目が節穴だったってことだろ」

 さて、小保方氏は今回のコメントの中で「学術的な理由とはかけ離れ、社会風潮を重視した結論を出されたことは明らか」という。つまり、私は学術的に認められる論文を再提出したのに ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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