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いじめ回避ともなり得るスクールカースト

教室内の“最下層階級”に属せば目立たずターゲットにされないメリットがある

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 前半では、周囲の目を気にする中高生が増える中で、スクールカーストが学校全体の学力低下の原因になりかねないという関係者の話を紹介した。後半では、だが、害悪とされているスクールカーストだが、実際、メリットはないのだろうか。後半ではスクールカーストは利用次第では、いじめ被害を回避できるツールとなりえるということに言及したい。

美人で優秀な女性ほど「高校時代はカーストが低かった」

 記者の仕事をしていると、いろんな人たちにあう。仕事で業績をあげている人とも多く接するわけだが、その中には人並み外れた美貌の女性もいる。ヘアメイクで盛っているのではなく、顔立ちが整っていて、もう、生まれながらに容貌に恵まれた部類の顔だ。そういう女性が共学の高校に通っていたと聞けば、さぞモテたであろうと感じる。ところが彼女たちは必ずこう答える。「全然。私は写真部でカースト最下層だった」「サッカー部の子に片思いをしていたけれど、身分が違うから告白もしなかった」

 つまり現状美人で仕事もできてしかも性格もいい、という完璧な彼女たちは、スクールカーストが低かったというのだ。

 私は首をひねる。なぜ、中学高校時代、可愛くて頭もよかった女子たちが、スクールカーストの下位にいたのか。そして、なぜ、その青春時代をどこか楽しげに語るのか。この答えが最近みつかった。

下のカーストに入ればいじめられない

 社会学を大学で教えている研究者と雑談していたときのことだ。その研究者がこういったのだ。

 「スクールカーストはあった方がいい。下のカーストに入ってしまえば、いじめられないから」

 いじめは目立つ人間がターゲットにされる。特に女子の場合はそうだ。容姿に恵まれ、成績優秀な女子は目を引くので、やっかみの対象になり、攻撃されやすい。日本で最もスクールカーストが強いと言われるのが、名門私立大学付属Aである。Aは江角マキ子のママ友バトルでも注目された。この学校で、大物女優の娘が起こしたリンチ事件の被害者は、全国美少女コンテストで入賞したタレントの卵と報道された。つまり、被害者は目立ってしまったので、リンチにあったのだ。

 このA学院は芸能活動を認めているので、他にもタレント活動をしている女子はしばしいるが、彼女たちはスカート丈を長めにし、眼鏡をかけ、地味なグループに属している。スクールカースト最下層にいれば ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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