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電波停止発言を報道し「偏向」のレッテルが怖い?

高市総務相の問題発言を取り上げない逃げ腰のNHKなどのニュース番組

水島宏明 ジャーナリスト、上智大学文学部新聞学科教授

衆院予算委で民主・山尾志桜里氏の放送法関連の質問に対する安倍晋三首相(手前)の答弁を聞く高市早苗総務相=2016年2月15日拡大衆院予算委で民主・山尾志桜里氏の放送法関連の質問に対する安倍晋三首相(手前)の答弁を聞く高市早苗総務相=2016年2月15日
 番組の政治的中立性に問題があれば放送局に対して「電波停止」を命じることができると言い切った高市早苗総務相の「電波停止」発言。

  実はこのニュースは新聞やネットでは大きな波紋を呼んだものの、放送局の問題なのに当の放送局であまり大きく放送されることはなかった。

 高市総務相は2月8日に衆議院予算委でこの発言をした後に、9日には閣議後の記者会見でもこの問題に触れて発言。同日の予算委でも同様の発言を繰り返した。さらに12日には、高市総務相の主張を政府全体のものだとする「統一見解」が発表された。

  今回の高市発言をニュースがどう報道したのかを各社のテレビニュースで検証してみた。

  驚くことにNHKはメインのニュース番組である「ニュース7」「ニュースウォッチ9」で2月8日も9日も12日もまったく報道せず。放送局の存立にかかわる重大なニュースのはずが、あえて触れないという姿勢を露骨に見せて報道しなかった。NHKはなぜいっさい報道しないのだろう。

  民放各社はニュースのなかで短く報道はした。後述するが「育休議員の不倫疑惑」を一番、熱心に報道したフジテレビでさえ、定時のニュースのなかで連日報道はしている。しかし、フジも含めて、高市総務相がこう発言した、と予算委での答弁や会見の映像を流すだけでこのニュースが持つ意味や影響などについて「解説」を加えたものは後で述べるごく少数の番組を除いてはなかった。放送法や電波法がかかわるだけに、丁寧な解説なしで問題を視聴者が理解できるとは思えないが、多くのニュース番組、報道番組がそれを避けた。

  新聞やネットなどで「電波停止」発言が大きく報道され、この影響として「報道の萎縮」につながるのではないか、と懸念が広がっていると伝えられているのに、当の放送局だけがこの問題を取り上げない、あるいは、取り上げても断片的に放送するだけ、では報道の役割を放棄してしまった、といっても過言ではない。

  そうしたなかで異色だったのが2月13日(土)のTBSの『報道特集』。

  スタジオ部分の冒頭で金平茂紀キャスターは「電波停止」発言についてコメントした。よほどの危機感だったのだと感じた。金平氏は元々 ・・・続きを読む
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筆者

水島宏明

水島宏明(みずしま・ひろあき) ジャーナリスト、上智大学文学部新聞学科教授

1957年生まれ。札幌テレビ、日本テレビでテレビ報道に携わり、ロンドン、ベルリン特派員、「NNNドキュメント」ディレクター、「ズームイン!」解説キャスター等の後、法政大学社会学部教授を経て16 年4 月から現職。主な番組に「ネットカフェ難民」など。主な著書に『内側から見たテレビ』など。「ヤフーニュース・個人」で報道に関する記事を発信中。

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