メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

受験に失敗した子供を親はどうケアするべきか

不本意な進学先で、花を咲かせるためには

杉浦由美子 ノンフィクションライター

国公立大学の前期日程の合格発表で合格者名簿に名前がなく、地面にうずくまる1浪の受験生=1990年3月10日、東京都文京区の東大拡大国公立大学の前期日程の合格発表で合格者名簿に名前がなく、地面にうずくまる1浪の受験生=1990年3月10日、東京都文京区の東大
 4月から進学で新しい生活を迎える人も多いだろう。中には希望どおりの進路をつかめなかったケースもあるはずだ。今回は、受験で失敗して、不本意な学校に入学する子供を親はどうケアするべきかについて考えていきたい。少子高齢化や経済の閉塞などは、実は、受験や就職活動で失敗した人たちが、いくらでも逆転できるチャンスを作り出している。受験での挫折をハングリー精神の種にできるか否か。それには両親や家庭のケアが影響してくるのではないだろうか。このテーマを、私がこの欄でずっと追っている”小保方晴子氏問題”に絡めて考察していきたい。

STAP論文捏造のルーツは高校受験の失敗

 元理研研究員の小保方晴子氏を私は少しも擁護するつもりはない。しかし、私には彼女に共感する部分もあるのだ。それは彼女が発する「親から十分なケアを受けて育ってない」臭である。実際はどうだったのか分からないが、ただ、少しずれた感覚の両親だったろうことは推測できる。

 釈明会見の時に小保方氏が着たバーバリーのワンピースは、親が買ってきたと報道された。なぜテイラードのスーツを買ってこなかったのか。娘が「ワンピースがいい」と希望しても、「こういう席ではスーツの方が適しているから」と、紺かグレーのスーツを着せてあげていれば、彼女の人生は少し変わったのではないか。

 この小保方氏の「家庭でのケアを受けていない」臭を私が再認識したのは、小保方氏の手記『あの日』(講談社)で、以下の高校受験のエピソードを知った時だ。

 小保方氏は都内の国立大学附属高校に絶対に合格すると予想されていたのに、不合格で、滑り止めの千葉の私立大学付属高校に進学した。小保方氏は、高校受験の失敗から向学心を失い、大学受験へのモチベーションは低かったと書いている。そのため、教師から勧められるがままに早稲田のAO入試を受験したとのことだ。

 子供を育てるのは、学校と家庭だ。もし、高校受験に失敗した時に、小保方氏が家庭で十分なケアを受けていたら、挫折経験をバネにして、「大学受験で挽回してやる」と思えたのではないだろうか。しかし、彼女はそうはしなかった。以前の記事でも書いたように、高校では男子バレー部のマネージャーになり、人気者の男子バレー部員と交際していると吹聴し、それが虚言だとバレて、同級生たちから疎まれるようになった。

 なぜ、私が繰り返し、この小保方氏の高校時代のエピソードを取り上げるかというと、ここに「世紀の論文不正事件」のルーツがあるように思えるからだ。

 彼女は千葉の名門私立高校で、スクールカーストが最上階の男子の恋人になることで、自分の地位をあげようとした。これは彼女が研究者の世界でやっていたのと同じことではないだろうか。

 理研で、小保方氏が取り入った男性研究者も、その道では「イケてる人たち」だ。小保方氏は、研究の道に入っても、自分自身が研究で成果を出すのではなく、地位の高い男性にコミットすることで、自分の価値をあげようとした。玉の輿願望だけで生きているようにみえる。

 やはり、そうなってしまったきっかけとして、高校受験の失敗があるだろう。不本意な学校に進学する娘に、両親はどう接していたのだろうか。「高校受験ダメだったから、大学受験で挽回しろ。晴子ならできる。頑張れ」と励まし、ケアしていたのだろうか。

大学受験を失敗したことをバネにする

 昨今、人間の価値は、「育ち」で決まると言われている。企業の採用担当者は、採用の基準は、「育ちの良さ」だと言うのだ。

 「裕福な家庭で育ったとか、小学校から名門校に通ったとかそういうことではなく ・・・続きを読む
(残り:約1171文字/本文:約2680文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
デモクラシーやJournalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

杉浦由美子の新着記事

もっと見る