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保育士不足は薄給が問題ではない(中)

なぜ保育士は”憧れのお仕事”ではないのか

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 先の記事では、保育士の給与水準の低さが報道されているが、一概にそうは言えないのではないか、ということに言及した。そして、”保育士はワーキングプア”と煽る報道により、学生がますます保育士になることを敬遠する危惧を抱く保育園関係者もいることも紹介した。

 実際、現役の保育士たちも”保育士ワーキングプア”報道に戸惑っている。20代現役保育士はいう。

 「最近、保育士をやってるというと、”貧乏なんでしょ”と同情の目で見られる」

「保育園落ちたのは私だ」などと書かれた紙を掲げて立つ人たち=2016年3月5日、東京都千代田区の国会議事堂前拡大「保育園落ちたのは私だ」などと書かれた紙を掲げて立つ人たち=2016年3月5日、東京都千代田区の国会議事堂前
 また、別の現役保育士はいう。彼女は23区内の認可保育所で働いている。

 「知人の紹介で、新聞記者の取材を受けた。私が”給与の面では満足している”というと、イラッとした表情をした。”悲惨な保育士のワーキングプアぶり!”というストーリーが先にあり、それに当てはまるコメントを求められたことに、とても傷ついた。保育士は勤務先によっては、給与がいいんだよ、という報道をしてくれた方が人手不足の解消につながるはずなのに」

 この後者の保育士の指摘は筋が通っている。だが、待遇がいい彼女の勤務先も常に求人を出しているとのことだ。
そうなると、問題は、保育士不足は待遇面だけが問題ではないと分かってくる。

 今回、(中)編では、どうして、給与が良い保育園でも保育士は不足しているのかを考えてみたい。

保育士は”残念な職業”扱い

 (上)編で述べたように、23区内だと好条件の保育士求人はたくさん存在する。地方から出てきたいというならば、寮を用意し、引っ越し代も全額支給するという手厚さだ。そこまでしても保育士が不足するのはどうしてなのか。

 保育園関係者はいう。

 「今、保育園の経営者や管理職の最大の悩みは、若い保育士のモチベーションをどうやったら保てるか、ということです。なぜなら、保育士は今若い女性にとって憧れの仕事ではないんです。高校の同級生に”あの子、今、なにやってんの” ”保育士”” ”あーそうなんだー”と言われてしまうような”残念”な職業になってしまっている」

 なぜ、残念なのか。待遇が良くないということだけではなく、「ファッショナブルではない ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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