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地域社会の民度のバロメーターとなるごみ屋敷問題

京都市では初の行政代執行で強制撤去、財産権からの批判や根本解決かという疑問も

樫村愛子 愛知大学教授(社会学)

京都市が条例で初の代執行で撤去する前のごみの山=2015年11月12日、京都市右京区拡大京都市が条例で初の代執行で撤去する前のごみの山=2015年11月12日、京都市右京区
 東京都足立区で2013年1月1日ごみ屋敷に関する条例(足立区生活環境の保全に関する条例)が制定・施行されたのを皮切りに、全国各地の自治体で条例の制定・施行が加速している。

  昨年11月13日には、京都市の「ごみ屋敷」対策条例(14年11月11日施行)に基づき、全国初となる、行政代執行による強制撤去がなされた。右京区の民家で50代男性が物をため込んでおり、近隣住民の通行に支障が出ており、災害時の住民避難に影響が出るとして、市内の私道など屋外に置かれた物を強制撤去した。09年12月に近隣住民からの相談で市が問題を把握し、男性に撤去を要請、14年11月の対策条例施行後は文書指導や命令も行ったとされ、市は男性宅を124回訪問し、撤去を求めるほかに健康相談も行ってきたとしている。

  これを見ると、丁寧な対応のように見えるが、最初の条例案では他の自治体より厳しく、調査時の質問拒否に対する氏名公表や過料の規定など懲罰的傾向が強く、財産権の観点からやり過ぎだとする弁護士の批判も出ていた。氏名公表はネット社会の中、ラべリングによって地域社会から孤立させるだけであり、またごみ屋敷住人は繰り返しごみをためるので、支援でなければ根本的な解決にならないと、支援の現場にいる精神科医らも反対した。彼らは「京都市ごみ屋敷問題を考える会」を立ち上げて、条例案の改正を求め、今のように支援の柱も入れられたのである。もとの条例案では、他の自治体にはあった、改善命令前の審議会など第三者によるチェック機関も存在しなかった(京都新聞2014/10/17)。

  京都市のケースは、行政案が ・・・続きを読む
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筆者

樫村愛子

樫村愛子(かしむら・あいこ) 愛知大学教授(社会学)

愛知大学文学部社会学コース教授。1958年、京都生まれ。東大大学院人文社会系研究科単位取得退学。2008年から現職。専門はラカン派精神分析理論による現代社会分析・文化分析(社会学/精神分析)。著書に『臨床社会学ならこう考える』『ネオリベラリズムの精神分析』、共著に『リスク化する日本社会』『現代人の社会学・入門』『歴史としての3・11』『ネオリベ現代生活批判序説』(新評論)など。

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