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宇野昌磨、4回転フリップ世界初成功の衝撃(上)

世界と日本の様々な系譜を受け継いで、大きな到達点へ

青嶋ひろの フリーライター

「史上初成功」という称号

 ほんとうは、もっと大きなニュースになっていい出来事だっただろう。

 シーズン最後の「花試合」的一戦だった「コーセー・チームチャレンジカップ」(4月22~24日、アメリカ・スポケーン)にて、宇野昌磨が史上初めて、大技・4回転フリップに成功。しかもショートプログラム、フリープログラムと2夜連続での成功は、フィギュアスケート史に大きく刻まれる快挙だった。

宇野昌磨拡大歴史的快挙を成し遂げた宇野昌磨
 フィギュアスケート、4回転ジャンプの歴史を紐解いてみよう。

 1988年にカート・ブラウニング(カナダ)が、人類史上初の4回転成功。これは6種類のうち最も難度の低い、トウループでの成功だった。

 続いて10年後の98年に、ティモシー・ゲーブル(アメリカ)が4回転サルコウを成功。

 さらに13年後、2011年にブランドン・ムロズ(アメリカ)が4回転ルッツを成功。

 6種類の4回転のうち、3種類で成功者が出てから、5年。世は4回転時代のまっただなか、残るフリップは、ループは、あるいはアクセルは、いったい誰が、いつ、成功させるのか? 今か今かと待たれていた中での出来事だった。

 羽生結弦、ボーヤン・ジン(=金博洋、中国)、ケビン・レイノルズ(カナダ)など、2種類目、3種類目の4回転を習得中のジャンパーたちにとって、「世界初」のこの快挙は、喉から手が出るほど欲しいものだっただろう。

 世界最高得点は、時代が移れば更新されていく。世界チャンピオンは毎年、オリンピックチャンピオンも4年ごとに増えていく。しかしこの「史上初成功」の称号は、どんなに時代が進んでも、決して消えることも埋もれることもない。試合での勝利、高得点の更新とはまた別の「史上初」という大きな記録を狙っていた選手は、世界中にいた。

 それは現役で試合に出ている選手たちだけではない。2002年ソルトレイクシティ五輪で4回転ルッツに挑戦したマイケル・ワイス(アメリカ)、2010年の世界選手権で4回転フリップに挑戦した高橋大輔など、「前人未踏」に挑む選手たちの足跡は、4回転ジャンプの歴史が始まったころから綿々と続いている。

 その大きな達成のうちのひとつが、まだ18歳の宇野昌磨によって成されてしまうとは!

ISUトップレベルの審判団が認定

 初成功となった4月22日のショートプログラム後、日本国内のニュースがそれほど大きく扱わなかったのは「これが果たして ・・・続きを読む
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筆者

青嶋ひろの

青嶋ひろの(あおしま・ひろの) フリーライター

静岡県浜松市生まれ。2002年よりフィギュアスケートを取材。日本のトップ選手へのインタビュー集『フィギュアスケート日本女子 ファンブック』『フィギュアスケート日本男子 ファンブック Cutting Edge』を毎年刊行。著書に、『最強男子。 高橋大輔・織田信成・小塚崇彦 バンクーバー五輪フィギュアスケート男子日本代表リポート』(朝日新聞出版)、『浅田真央物語』『羽生結弦物語』(ともに角川つばさ文庫)、『フィギュアスケート男子3 最強日本、若き獅子たちの台頭 宇野昌磨・山本草太・田中刑事・日野龍樹・本田太一」(カドカワ・ミニッツブック、電子書店で配信)など。最新刊は、『百獣繚乱―フィギュアスケート日本男子―ソチからピョンチャンへ』(2015年12月16日発売、KADOKAWA)。

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