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なでしこジャパン、高倉麻子監督のスタート

19年W杯、20年東京五輪への再起に向け世界女王の米国と2試合戦う

増島みどり スポーツライター

 サッカー界では久しぶりに「代表アベックマッチ」が実現した。こんな言い方がずい分と懐かしく、どこか前時代の香りが漂う理由は、この10年、目覚ましい進歩でついにW杯優勝(2011年)まで果たした女子サッカーの存在感が、「アベック」で扱わずとも十分に認知されたひとつの証なのだろうと思う。

  リオデジャネイロ五輪出場権を逃した女子日本代表「なでしこジャパン」は、米国コロラド州デンバーで現地2日(日本時間3日午前)に米国と、完全なアウェーとなる満員のスタジアムで親善試合に臨み、男子も同じく3日(夜7時半)、同じ満員でもこちらはホーム(豊田スタジアム)でブルガリアとキリンカップを戦った。

  男子の7-2での圧勝に比べ、海外で、しかも衛星中継のみだった女子は紙面上、ずい分小さな扱いである。

なでしこジャパンの高倉麻子新監督=2016年4月27日、東京都文京区拡大なでしこジャパンの高倉麻子新監督=2016年4月27日、東京都文京区
  しかし、高倉麻子新監督(48)のもと、現地に入って初めて練習を行ったいわば「急増出直しチーム」は、8月のリオデジャネイロ五輪金メダル筆頭候補相手に堂々たる戦いを見せた。11年、W杯決勝でPKにもつれる死闘の末アメリカを下したが、公式記録上はこの試合は引き分けで、実際には翌年のアルガルべカップであげた1勝(24敗)が今でも唯一の勝利だ。

  現役時代(ベレーザ=現在日テレ)MFとして女子リーグ開幕初得点を記録し得点王、代表戦と日本女子サッカー界をけん引した監督も、アメリカには「勝てないどころか引き分けもなかったはず」と話す。しかし世界女王相手に引かなかった。初めての試合前ミーティングでは、選手をこう鼓舞して送り出したという。

  「なでしこは倒れてはいない。たとえリオに行けなくても、それを示す戦いをしよう。1人1人がチャレンジする試合を!」

  なでしこ、と呼ばれる前に引退した、しかし逞しい「なでしこ魂」を秘めた女性監督のスタートに、ふさわしい言葉だった。

女性監督が見せた、厳しく、大胆、かつ細心のマネージメント

  初選出での初先発2人、佐々木監督時代は「スーパーサブ」とベンチスタートだった岩渕真奈(バイエルンミュンヘン)を先発で、しかもこれまでなかったワントップに据え、不動のFW・大儀見優季(フランクフルト)を中盤でサイド起用。実に「らしい」強気の布陣、選手起用であり同時に、佐々木監督から大きく変貌を遂げる、との強いメッセージも込められていたはずだ。

  前半14、22分と、そのFW2人がゴール。2-0と先制した後しばらく、1万7000人が詰めかけたスタジアムは静まり返ってしまった。

  初戦は、大儀見が警告2枚で退場し結局3-3と追いつかれ、第2戦(オハイオ州クリーブランド)は後半30分過ぎの激しい雷雨で中止に(0-2)。初戦前に行えた練習はわずか4回と ・・・続きを読む
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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

スポーツライター。1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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