メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

なぜ男性保育士は疎まれるのか(上)

真面目で熱心なほど「ロリコン」と噂が立つ

杉浦由美子 ノンフィクションライター

保育園の遊戯室で過ごす5歳児=2009年7月、大津市拡大保育園の遊戯室で過ごす5歳児=2009年7月、大津市
 昭和の時代に比べ、現在、ジェンダーで職種が制限されることは減ってきた。だが、人手不足が叫ばれる保育士に男性の数がなかなか増えていかない。

 かつては保母と呼ばれた名称を保育士としてからは、国としては積極的に男性保育士を増やしていきたいと考えているはずだ。保育所の現場に、男性スタッフがいることにはいろんなメリットがある。都内の保育園だと半分以上が母子家庭というところもあり、普段父親と接しない子どもたちが、男性保育士から教わることも多いだろう。むろん、力仕事もできる。不審者がやってきたときも、男性がいた方がセキュリティの面で安心度は高い。

  しかし、保育園側はどうしても男性保育士の採用に積極的になれない。今回はその理由をみていこうと思う。

「男性保育士と娘を二人きりにしないでくれ」

 私立保育園やベビーシッター業を営む角川慶子氏は、ネットニュースサイト『サイゾーウーマン』(2016年2月20日配信)のコラムで、こう書いている。

 ”採用という点からお話しすると、企業は「年齢や性別を理由に断ってはいけない」のです。保育園でも考えさせられたことですが、男性保育士の問題に今回も直面しました。保育園で男性保育士を雇ったことがあるのですが、女の子のママに「●●さん(男性保育士)と2人にさせないでください」と言われたことがありました。抵抗があるのはよくよくわかるので、その男性保育士をスタッフが手薄になる遅番から外したのですが、シフト上、ほかのスタッフの負担が増えてしまったので、やりづらい。もちろん男性なので、力仕事などいい面もありましたが、トータルで考えると親からの需要は少ないです。”

  なぜ、保護者は男性保育士が娘と接するのを嫌がるのか。

  これに対しての答えとして、『日経ビジネスオンライン』(2016年3月29日配信)で健康社会学者の河合薫氏は『男性保育士「ロリコン疑惑」と待機児童問題』という記事の中で、保育士だというだけでロリコンと疑われる男性たちの現状をレポートしている。記事の中では男性保育士の声を紹介しているが、彼はロリコンと疑われたことが一番大きな退職の理由だったという。

子どもが性の対象にあるという認識

  保育園だけではなく、小学校の現場でも、ずいぶん前から「熱心な男の先生は『ロリコン』では?と噂が立つ」と悩みがあった。

  ロリコンではない男性をそうだと疑うのは、ずいぶんと失礼な気がするが、 ・・・続きを読む
(残り:約655文字/本文:約1710文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
デモクラシーやJournalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

杉浦由美子の新着記事

もっと見る