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稀勢の里、「最強大関」の退路なし(下)

要所での精神面の弱さ、年齢の壁を越えられるか

倉沢鉄也 日鉄住金総研研究主幹

名古屋場所千秋楽、稀勢の里(左)は押し出しで豪栄道を破る=2016年7月24日、愛知県体育館拡大名古屋場所千秋楽、稀勢の里(左)は押し出しで豪栄道を破る=2016年7月24日、愛知県体育館
  稀勢の里は‘準横綱’的大関を務めてきた側面はあるものの、横綱に求められる「出場する以上は常に優勝を争う」状態を維持してきたわけではない。ここまでの大関在位28場所で過去の(横綱に昇進できなかった)大関と比べると、5回の13勝以上(2位タイ)、6回の12勝以上(3位)、3場所最高38勝(1位タイ)をもって、現時点で稀勢の里が過去最強の大関か?という質問に対しては、NOと言わざるを得ない。

  6場所75勝の小錦、大関で4回優勝した魁皇、全勝優勝を含む3場所38勝が昇進の俎上にも乗らなかった若嶋津、8場所連続10勝以上の琴風、などにどれも一歩及ばない。何よりも豊山同様、一度も優勝できていないこと、優勝決定戦進出も一度もないこと、(要所で精神的に弱い面も類似)が昇進当落も論じられない決定的な要因になっている。

  昇進直前2場所で優勝できなかった2代目若乃花、三重ノ海、大乃国は、その前の優勝、直前の決定戦、対横綱戦の勝利、2~3場所の勝ち星のハイレベルさなどを考慮すれば、いずれも妥当な昇進であった。

  稀勢の里という新横綱が9月場所後に誕生したら、何を実現できるのか。稀勢の里は7月場所終了時点で30歳0カ月とすでに高齢昇進の域に入っており、今後の将来性を期待する時間は残されていない。30歳を超えた横綱昇進は過去4例しかなく、琴櫻、三重ノ海、隆の里、旭富士とも昇進直後5場所以内に1~2回の優勝で横綱の役割を最小限果たしたのち、(長期休場を除いた)実質在位2年以内に引退していった。拙稿「3年後、ポスト白鵬は照ノ富士プラス群雄割拠か」(2015年11月5日)に述べたとおり、3年後には照ノ富士以外の横綱大関は誰もいなくなる。

  稀勢の里には来場所(2016年9月)での横綱昇進の可能性が残されていると審判部も理事長も明言している。昇進2場所前がやや見劣りする‘サンドイッチ型’(稀勢の里13勝、12勝)を踏まえた過去の横綱昇進例は、 ・・・続きを読む
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筆者

倉沢鉄也

倉沢鉄也(くらさわ・てつや) 日鉄住金総研研究主幹

日鉄住金総研(株)研究主幹。1969年生まれ。東大法学部卒。(株)電通総研、(株)日本総合研究所を経て2014年4月より現職。専門はメディアビジネス、自動車交通のIT化。ライフスタイルの変化などが政策やビジネスに与える影響について幅広く調査研究、提言を行う。著書に『ITSビジネスの処方箋』『ITSビジネスの未来地図』など。

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