メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

介護と仕事を両立させるには(下)

求められるライフスタイルに合った働き方と男性の変化

町亞聖 フリーアナウンサー

両立の鍵は「柔軟な働き方」

 正直、私自身もアナウンサーの仕事をしながら母の介護をするのは厳しいと思っていたが、実際に働き始めると介護との両立に実は向いていることが分かった。何故ならアナウンサーは今から20年も前に「フレックスタイム」の働き方ができる仕事だったのだ。確かに勤務時間が不規則で大変な面もあったが、決まった時間に出社し退社する妹よりも柔軟に自分の時間を使うことができた。

  それぞれ担当する番組によって勤務時間が違ってくるが、例えば私が早朝番組を担当していた時は、夜中2時前にタクシーが家に迎えに来る。その代わり遅くとも夕方には帰宅し、買い物や家族のご飯を作ることができ、母が寝ている間に仕事をこなすことで、日中は母と過ごす時間をつくることができた。

  また全員が同じ時間に働いていないので「私だけが介護を理由に早く帰っている」という申し訳ない思いや罪悪感を持たなくて済んだことも大きかった。これからは全ての人が介護に直面するのだから申し訳ないと思う必要はない。介護と仕事の両立を実現するためにはどうしたらいいのか、その答えは明白である。一人ひとりのライフスタイルに合わせた“柔軟な働き方”を一日も早く導入することである。

本当に仕事を辞めるしか選択肢はないのか・・・・・・

  しかし現実に目を向けると介護休業を取得している人はわずか3.2%。これは総務省が5年ごとに発表している就業構造基本調査によるもので2012年度の数字だ。最長で93日取得できる介護休業は要介護になった家族1人に1回しか取れず使い勝手が悪いと言われてきた。

  来年1月から3回に分けて取得できるようになり、休業中の給付金も賃金の40%から67%に引き上げられるなど少し改善される。次回の調査結果が少しでも上がっていると期待したいが・・・・・・。

「ロボットスーツHAL」を装着して、入居者を車いすからベッドに移す介護士=2015年6月12日、横浜市港南区拡大「ロボットスーツHAL」を装着して、入居者を車いすからベッドに移す介護士=2015年6月12日、横浜市港南区
  介護のために転職した人には厳しい現実が待っている。正社員として働けている人は本当に少なく、収入が半減してしまう人も多い。職を得られずに親の年金を頼りに貯蓄を切り崩して暮らしているという人もいるが、在宅で介護サービスを使い続けるにしても、介護施設に入ってからもお金がかかる。介護保険料や利用料の負担は増えることはあっても減ることは決してない。

  夢を持ち続けることが精神的な支えになったと綺麗事を言ってしまったが、経済的な安定が精神的な余裕に繋がったことは間違いない。介護が終わった後、当たり前のことだが親の年金はストップする。仕事を辞める前に本当に他に選択肢はないのか、今一度、立ち止まって考えて欲しい。

 そしてまた別の機会に書きたいと思うが、介護で追い込まれる人の多くは女性ではなく男性であるということも付け加えておく。後を絶たない ・・・続きを読む
(残り:約1101文字/本文:約2284文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
デモクラシーやJournalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


関連記事

レコメンドシステムによる自動選択

筆者

町亞聖

町亞聖(まち・あせい) フリーアナウンサー

フリーアナウンサー。1995年、日本テレビにアナウンサーとして入社。その後、報道局に移り、報道キャスター、厚生労働省担当記者としてがん医療、医療事故、難病などの医療問題や介護問題などを取材。2011年、フリーに転身。脳障害のため車椅子の生活を送っていた母と過ごした10年の日々、母と父をがんで亡くした経験をまとめた著書『十年介護』を出版している。現在、TOKYO MX「週末めとろポリシャン!」(金曜午前11時~12時)、文化放送「大竹まことのゴールデンラジオ!」(水曜午後1時~3時30分)などに出演。

町亞聖の新着記事

もっと見る