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高畑裕太氏釈放で、さらに広がる女の悲劇(上)

・「合意だと思っていた」報道を受けて、新たなる問題点

杉浦由美子 ノンフィクションライター

  強姦致傷容疑で逮捕された俳優の高畑裕太が、不起訴となり釈放された。その直後から週刊誌が、今までの報道とは違う事件の背景を取り上げはじめた。

  釈放時に、裕太の担当弁護士が各メディアにコメント文をファックスで送り、その中で、「高畑裕太さんの方では合意があるものと思っていた可能性が高く、少なくとも、逮捕時報道にあるような、電話で『部屋に歯ブラシを持ってきて』と呼びつけていきなり引きずり込んだ、などという事実はなかった」「仮に、起訴されて裁判になっていれば、無罪主張をしたと思われた事件」と書かれていたが、それを裏付ける報道がされている。事件記者たちが、手間をかけて集めたデータをまとめあげた記事を読むと、改めて週刊誌の取材力に敬服する。今後もこの事件は、新たなる情報が報道されていくだろう。

軽率な行動がトラブルの原因

  私は以前の記事で、高畑裕太のように、仕事が順調で、将来有望視される若者が”性衝動を抑えられず、性犯罪を犯した”というのは、複数の医師が公でコメントしているように、障害だと推測され、それには治療が必要ではないのだろうか、と書いた。苦労を知らずに人気者になった二世タレントの気の緩みという批判も的外れだとも述べた。障害だとしたら、それは本人の意志だけではどうしようもないからだ。

  しかし、釈放後の週刊誌報道によると、裕太と女性は一緒にエレベーターに乗って部屋に行ったとある。その流れで、裕太は合意だと思い、性交渉をしたとなると、違う問題がでてくる。それは”脇の甘さ”である。仕事先で知り合った、ほぼ初対面の女性と、簡単に身体の関係をもってしまうことは、「下積み経験のない、二世だからこその慢心」と批判されて当然となろう。

  彼は今年に入って、演技面で実力をつけており、映画やドラマのオファーが複数来ていた。バラエティでも露出が多く、知名度も高い。そういう立場にある俳優は、普通、気軽に女性をホテルの部屋に入れたりしない。特に昨今はネットで情報が拡散されやすいので、芸能人も慎重になっている。

  いわゆる”プロ彼女”......「芸能人と交際するのが仕事のプロの彼女(恋人)」が存在するのは、男性芸能人が、トラブルにならない相手を必要とするからだ。彼女たちは口が堅い。私は”プロ彼女”と接したことがあるが、彼女たちは「○×くん(人気男性アイドル)とは仲良くて、一緒に牛丼を食べたこともあるのよ」と話しても、肝心なことはしゃべらない。もし、べらべらと話したら、二度と、彼らの飲み会には呼んでもらえないからだ。

主演に抜擢された時に妊娠発覚

  そういう”プロ彼女”ならいざ知らず、今回は人気俳優が宿泊先のスタッフの女性と関係をもったことで、事件に発展し、多大な損害を生んだ。出演したドラマの中には、代役を立てて撮影し直した番組もある。また、母親の女優・高畑淳子もこの事件の影響で、自身の仕事に支障をきたしている。

長男の逮捕を受け、会見する高畑淳子さん=2016年8月26日、東京都千代田区拡大長男の逮捕を受け、会見する高畑淳子さん=2016年8月26日、東京都千代田区
  今から23年前。高畑淳子がまだ無名時代に、青年座で主演に抜擢された。その時に、妊娠が発覚したのが裕太だった。当時、青年座の看板俳優だった西田敏行の計らいで、 ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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