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日本のバスケットは‘ガラパゴス’から脱却するか

Bリーグ開幕戦で長く対立した両リーグの雄が火ぶたを切った意味

増島みどり スポーツライター

 朝から降り続いた強い雨も、長い間待ち続けた夢の日を迎えるバスケファンには少しも苦にならなかったようだ。バスケファン、などとの古めかしい呼び方そのものが、この日を境にすたれて行くだろう。サッカーJリーグが始まった1993年以降、どこか片身を狭くしていたサッカーファンが、いつの間にか活気溢れる「サポーター」として日常に浸透したように、バスケットでも熱狂的支持者を意味する英語「ブースター」が今後メディアを通して周知して行くに違いない。

アルバルク東京戦の第2クオーター、シュートを放つ琉球ゴールデンキングスの波多野(右)=2016年9月22日、東京・代々木第1体育館拡大アルバルク東京戦の第2クオーター、シュートを放つ琉球ゴールデンキングスの波多野(右)=2016年9月22日、東京・代々木第1体育館

  Bリーグ開幕戦が行われた代々木第1体育館(9月22日)を取り囲んだブースターたちは強い雨をものともせず、夢の扉が開く瞬間を待ち続けていた。bjリーグ時代最多4度の優勝を果たした「琉球ゴールデンキングス」の地元からも応援団が駆けつけ、開幕記念Tシャツを全員で着用する。

  その列にいたスーツ姿の38歳、メーカーに勤める沖縄出身のサラリーマンは「今まで琉球を観戦した経験はありませんでしたが、今回、沖縄からも友人が上京するので久々に同窓会の気分で集合しました。Bリーグの誕生で自分の故郷のクラブを改めて見直した」と、定時退社で駆け付けたという。

  長く対立した男子バスケットボールのNBL(企業主体のリーグ)とbj(地域で発足)が統一された初のリーグ戦は、その負の歴史と新たな未来を象徴するかのように、昨季NBL最高の勝率をあげた強豪、アルバルク東京と、沖縄のバスケットボール熱、地域の誇りを背負ってbjで最多優勝を遂げた琉球と、両リーグの意地と実力をかけた「交流戦」で始まった。22、23日ともA東京が勝利し、2リーグ時代から指摘された企業チームの戦力の充実ぶりを示した格好となった。しかし琉球のバスケットもファンを魅了したのではないか。

  琉球は、従来とは変わったBリーグ公式ボールの扱いに不慣れで、NBAをベースに取り入れてきたルールとの違いに戸惑っているように見えたが、スピードと粘りで好ゲームに持ち込む。攻撃でのアイデアやスピードが磨かれれば、日本代表「アカツキファイブ」のスタイルにも大きな影響を与えるかもしれない。対立した両リーグの、トップクラブ同士の対戦は多くのものを示唆していた。

エンターテインメント性を追求する新たな存在感

  どのプロスポーツとも違うエンタ―テインメント性も存分に魅せた。

  開始前からヒップホップの曲が流れ、レーザー光線や世界でも初とされるLEDコートが、いつもの代々木体育館がまるで本場アメリカのアリーナのように鮮やかに変身。観客は9132人、2日目の同カードも9561人で満員と、野球、サッカーとは異なる若い世代を呼び込んだ勢いを感じさせる。

  またBリーグによれば、各地開幕戦での平均観客数は4157人と、昨年の開幕の平均2100人から倍増したという。スマホでの独占ライブ配信を行う「スポナビライブ」を約300万人が視聴し、Bリーグ公式サイトが約400万PVを記録した。Jリーグ開幕時のように ・・・続きを読む
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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

スポーツライター。1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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