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監督のマネージメントに見える焦燥感も不安材料

ハリルホジッチ氏が率いる日本代表が最終予選を突破するには落ち着きがほしい

増島みどり スポーツライター

オーストラリア戦前半、相手シュートを体を張って止めに行く山口(右)=2016年10月11日、メルボルン拡大オーストラリア戦前半、相手シュートを体を張って止めに行く山口(右)=2016年10月11日、メルボルン
 アジア最終予選でグループ首位にいた国に対し、アウェーで勝点1をもぎ取ったのだから決して責められるような結果ではない。少し前なら、大善戦と称賛されたかもしれない。しかし、11日、オーストラリア・メルボルンで行われた2018W杯ロシア大会アジア最終予選第4戦目、1-1で引き分けた日本代表への評価、ハリルホジッチ監督の手腕については厳しい見方が増す一方である。

  試合前日の会見で監督は「もし1年前に、海外組の15人のうち12人がスタメンではないという状況が分かっていれば・・・私はプレーしている選手を選ばなくてはならないと思っていた」と話すと、さっさと席を立ってしまった。広報担当者が「これを最後の質問に」とメディアに通達していたとはいえ、通訳はまだ終わっていなかった。

  「崖っぷち」と呼ばれるような最終予選やアジアでのタイトル戦では、監督会見が極めて重要なウエイトを占める。何も戦術に関する見立てからだけではない。苦境にも慌てず、騒がず、決して諦めず、どっしりと構える姿勢を、会見を通じ選手こそ注視しており、監督が苦境をポジティブな要素に変える言葉の力は時に、チームの重要な「戦力」でもあるからだ。歴代の日本代表監督はこの点で腹が据わっていた。

  感情を安易に表に出さなかった岡田武史監督、国際的なフットボーラ―の経験をベースにしたジーコ監督、ユーモアを交え最適な例え話で難局に向かったオシム監督、日本サッカーと選手は批判しないザッケロー二監督らスタイルはそれぞれだったが、会見の様子だけでも予選を存分に描けるほどだ。

  一方、最終予選がスタートしてからのハリル監督の会見は混乱している。

  「私たちには回復の時間さえないのに、相手(対戦国)は長い合宿を行って準備している」、「日本にはコンディションのばらつきがある」と同じ言葉を繰り返し、監督自身の焦燥感まで率直に表してしまう。DF酒井宏樹が最終予選わずか3試合で累積で出場停止、長友佑都が練習中の脳震とうで離脱と、事態はさらに厳しくなった豪州戦でも、こうした焦燥感、慌てぶりが試合をより困難にしたようだ。

  後半に入ってパワーをかけてきた豪州に対し、日本の運動量は明らかに落ち始めたが、 ・・・続きを読む
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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

スポーツライター。1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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