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タワマンの階層カーストは本当にあるか(下)

固定資産税など”終のすみか”という負の財産

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 前回は、他の物件に比べての、タワーマンションのデメリットや不安要素について考えてみた。最後に、そもそも、今、”終のすみか”を購入すること自体のリスクについて、みていきたい。

不動産は捨てられない

 一昔前まで、マンションや一軒家を扱う不動産販売者は「賃貸も購入も同じだけの金額を支払うことになる。それなら、資産が残るので後者がいい。また月々の同じ支払いでも後者の方がグレードの高い物件に住めますよ」といったセールストークをして、物件を売ってきた。しかし、それは今もう通じない。

大阪・船場地区に立ち並ぶ高層建築物。タワーマンションも増えている=2016年4月、大阪市中央区拡大大阪・船場地区に立ち並ぶ高層建築物。タワーマンションも増えている=2016年4月、大阪市中央区
  不動産というものが恐ろしいのは、いったん所有すると、捨てられないところだ。だから、全国で空き家が増えていくのだ。更地にして売るにしても、買い手がつかないし、自治体に寄付するといってもそうそう受け入れてもらえない。自動車は不要になれば、処分料金を払って手放すことができる。しかし、不動産はそうはいかない。

  そして、不動産を所有し続ける限りは、固定資産税が発生する。

  地方の中小企業の経営者がこう話す。

  「不動産はババ抜きのババ。引いた人が固定資産税を払わないといけない」

  資産価値が著しく低ければ、固定資産税も負担にならないように思えるが、場合によっては、違う負担も出てくる。山林を所有している人物が「台風で松が倒れるでしょう。その処分費用を負担させられる。1本につき、15万円かかる」と話していた。

  これは首都圏も同じで、オリンピック開催後は東京も人口減になるのだから、不動産はあまっていくだろう。その時、”終のすみか”はお荷物となる。

  不動産を捨てることができるのは、相続の時に、相続人が遺産放棄するしかない。しかしそのためには、他の現金や金融資産も放棄しなければならない。そう考えると、不動産をもつのは子供に負担をかけることになりかねないのだ。

マンションを損せず買うのはハードルが高い

  では、なぜ、タワーマンションは売れているのか。タワーマンションの多くが、都心や人気エリアに集中しているからだ。

  地価は全体的に下がっていくが、都心や首都圏の人気エリアは値崩れしないと言われている。東京への人口集中は止まらないわけで、そうなると、利便性のよい場所は、需要がなくならない。2011年 ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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