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NHK受信料は未来の産業競争力への投資

NTTや民放と共同で、放送・通信や番組配信技術の研究開発に資金を振り向けるべきだ

倉沢鉄也 日鉄住金総研研究主幹

  国民的には長らく不当利得のように認識されてきたNHKの受信料。受信端末を持っていれば受信契約の義務が生じることが放送法で規定されており、受信契約の法的位置づけが様々な判例によっていまだ確固たるものにならない状態ながら、実質的に‘世帯一律税’に近い強制力(例えば、2011年5月最高裁判決)を持っている。一方でNHKの大小不祥事が起きるたびにその強制力の持ち主としての適格性や、高給取りか否かのゴシップ的な切り口が、報道や国会の議論で問われることになる。

  100年弱にわたる歴史的経緯から、大臣や会長の個別発言までの日々の情報に加え、徴収目的・法的根拠・金額の妥当性・「受信設備」の定義・NHK自体の事業領域・メディア技術と市場の変遷、国際比較・国民の理解度とPRの論理‥‥といった論点は膨大で、網羅的に論じることはできない。本稿では、NHKしかできないことは何か、の観点であまり論じられていない点を一つ提示する。

スーパーハイビジョン用の厚さ約1ミリのシート型ディスプレー=2016年5月24日、東京都世田谷区砧1丁目のNHK放送技術研究所拡大スーパーハイビジョン用の厚さ約1ミリのシート型ディスプレー=2016年5月24日、東京都世田谷区砧1丁目のNHK放送技術研究所
  それは、NHKは受信料を財源にし、NHK技研(東京都世田谷区)という独自拠点を持って、放送関連技術の中長期の研究開発を一手に担ってきたということだ。同じように元電電公社・NTT(持株会社)も通信関連技術の中長期的研究開発を一手に担ってきた。同業の他の企業は一切これらの活動を担っていない。

  その研究開発投資が業界全体に還元されている現実から見て、その財源は結局は国民が基点になって負担すべきものであり、問題はそれが税(政府予算)なのか受信料(NHK)なのか消費財価格に乗っている広告費用(民放)なのか、のPR・合意形成の仕方に過ぎない。

  そして2019年にも全面解禁する(放送法改正)方針になっているNHKの番組ネット同時配信は、すでに時代の必然だ。例えば「朝ドラ」は ・・・続きを読む
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筆者

倉沢鉄也

倉沢鉄也(くらさわ・てつや) 日鉄住金総研研究主幹

日鉄住金総研(株)研究主幹。1969年生まれ。東大法学部卒。(株)電通総研、(株)日本総合研究所を経て2014年4月より現職。専門はメディアビジネス、自動車交通のIT化。ライフスタイルの変化などが政策やビジネスに与える影響について幅広く調査研究、提言を行う。著書に『ITSビジネスの処方箋』『ITSビジネスの未来地図』など。

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