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プロスポーツの新モデルを発信するBリーグ

開幕から2カ月、次の一手はオールスター公開ドラフトと女子マネ、SNS

増島みどり スポーツライター

あいさつするBリーグの大河正明チェアマン=2016年3月、秋田市拡大あいさつするBリーグの大河正明チェアマン=2016年3月、秋田市
  9月22日に開幕したばかりの男子プロバスケットボール「Bリーグ」(大河正明チェアマン)が12月5日、新たな仕掛けを都内のホールで披露した。

  来年1月15日に東京・代々木第一体育館で開催する初の「オールスター」に向けて、①SNSとの連動投票②ドラフト制③女子マネジャーベンチ入りを決定。プロ野球やサッカー(現在は行われていない)ならばチームをセ・パ、または東西2つに分けてファン投票が行われるが、Bでは、ファンは先ずスマホを手元に準備する所から始まるようだ。

  この日、ファン投票で選出された東西12選手を、「B.BLACK」と「B.WHITE」のヘッドコーチが、ファン参加の公開イベントでドラフトしながら6選手に編成していく。タレントを女子マネジャーに任命し、2人はベンチ入りし、お飾りではなく本物の女子マネとして「名前じゃなくきっちりと仕事をしてもらう」(チェアマン)という。

  ここまで聞くと、好きな選手の名前を特別に用意された投票用紙に書いてポストに入れていたあるラインより上の年齢層では、「うーん・・・分からない」と、戸惑うはずだ。しかしBリーグを支持する中心的ファン「ブースター」(サッカーのサポーターにあたる表現。米国で使われ、日本でも使われる)たちには好評で、両コーチがダブル指名した田臥勇太(栃木)が「抽選」でブラックに決定すると会場は盛り上がり、もちろんSNSにも同時中継された。

 東西、とか、セ・パといった枠組みではないためワクワク感もあれば、応援するクラブの選手が選出される興奮も同時に味わえる。9月22日に開幕したBの合言葉は革新、驚き、興奮。ライブ感を最大の魅力に、10クラブからスタートしたJリーグとも異なり、すでに全国36クラブが存在するネットワークは、野球やサッカーにはなかった一体感を生み出しているように映る。

  課題をあげれば、どの競技でもキリがない。しかし、誕生わずか2カ月のプロスポーツが、80年を超える歴史を持つプロ野球、20年を超えたばかりのサッカーに対して決して劣らぬ存在感を示している。

視聴率5.3%対32.4%の勝負の行方は・・・?

  さまざまな「仕掛け」の中でも分かり易く、新しいプロスポーツの誕生やビジネスモデルを表現するのは視聴率の数字だろう。9月22日、代々木第一体育館で行われたアルバルク東京対琉球ゴールデンキングスによる開幕戦の地上波視聴率(フジテレビ)は5.3%。93年のJリーグ開幕時は、過去のサッカー中継で最高となる32.4%だっただけに、「せめて二けたに」といった声も関係者にはあった。またSNSでもこの数字の低さを嘆く声はあがった。

  一方、テレビそのものが見られなくなった時代、視聴率はただひとつの指標に過ぎず、93年のJ開幕時にはなかった評価データがBリーグならではの指標を浮き彫りにする。開幕で配信されたライブ中継「スポナビライブ」は実に300万人が視聴し、Bリーグ公式サイトのアクセスは400万PVを突破した。また想定したグッズ販売も3倍ほどに跳ねあがり、1人当たりが試合で使った金額も約1000円と、他競技を上回った。

  プロ野球で ・・・続きを読む
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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

スポーツライター。1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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