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鹿島アントラーズが見せた本気で勝つ精神と価値

クラブW杯でレアル・マドリードを追い詰め2位,天皇杯でも4強の実力

増島みどり

世界2位にも浮かれず、1カ月で8試合目を勝ち切った強さ

レアル・マドリード戦後半、鹿島の柴崎(左)は一時勝ち越しとなるゴールを決める=2016年12月18にち、横浜国際総合競技場拡大レアル・マドリード戦後半、鹿島の柴崎(左)は一時勝ち越しとなるゴールを決める=2016年12月18にち、横浜国際総合競技場
  12月24日のクリスマスイブもサッカー界は激しい戦いの真っただ中にあった。

  元日に吹田スタジアムで迎える決勝に向けて、天皇杯準々決勝が各地で行われ、クラブ世界No.1を決定するクラブW杯(CWC、横浜国際競技場ほか)で、優勝したスペインのレアル・マドリードを延長戦まで追い詰め称賛を浴びている鹿島アントラーズは、広島とホームで対戦。後半の1点を守り切って4大会ぶりとなる4強に進出した。鹿島というクラブ伝統の「凄み」とは、実際にこの試合に集約されていたのかもしれない。

  11月23日、Jリーグの年間王者を決定する「チャンピオンシップ」で初戦となる川崎戦に臨み、浦和とホーム&アウェーで年間勝ち点3位から下克上で優勝を果たしてCWCの開催国代表枠を獲得する。初戦から試合があるため休む間もなく、横浜で「オークランド」に勝って(2-1)、すぐさま大阪へ移動し、アフリカ大陸代表「マメロディ・サンダウンズ」を倒し(2-0)、さらに準決勝では南米王者の「アトレチコ・ナシオナル」を3-0で撃破。日本勢が同杯で決勝に進出したのは初の快挙となった。

  24日の天皇杯準々決勝までちょうど1カ月間で実に8試合、それもシーズン終盤での超ハードスケジュールでも、勝つ。

  「レアルと決勝で延長戦をしたからと言って、次で負けたら何にもならない。次(天皇杯準々決勝)がもっとも大事な試合となる」

  決勝の取材ゾーンで、興奮冷めやらない報道陣を早くも諌めていたのは37歳のGK・曽ケ端準である。

  Jリーグ最多となる18個のタイトルを獲得してきたクラブに脈々と継がれてきた勝利への執着心、相手が誰であっても怯むことなく正面から挑む闘争心、ひたむきなプレーにこそ、未知の相手を過小評価したレアルは足元をすくわれそうになったのだろう。

  20日に行われたJリーグ年間表彰式で、チャンピオンとしてスピーチした小笠原満男主将(37)は、CWCにも触れ「チーム一丸となって、どんな相手にも勝ちに行く姿勢は見せられた」と話した。

驚異のV字曲線、ぶれないクラブ哲学は献身、誠実、尊重

 1993年のJリーグスタート時から参加している「オリジナル10」と言われる伝統クラブの一角、名古屋グランパスが2部に降格。浦和、広島、清水(来季からJ1復帰)、またかつて鹿島と黄金期を争った磐田もみなJ2降格の辛酸をなめるなか、鹿島は年間順位が6位以下になったのもわずか3回。今季の年間王者で、第4期黄金期を迎えるとの声もあがる。2本の強固な柱がそれを支える。

  1本は、91年夏、当時住金鹿島に加入したスーパースター、ジーコが残した献身、誠実、尊重のクラブ哲学である。「ジーコスピリッツ」は、どこのクラブとも異なる張りつめた空気感として今も息づく。ピッチに一歩足を踏み入れた瞬間から全力を尽くさなくては「アントラーズ ファミリー」の一員にはなれない。

  レアル戦を観たジーコは翌日、「試合の勝者は鹿島だ」とコメント。スペインや ・・・続きを読む
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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

スポーツライター。1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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