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女子はなぜ女子大に行くべきなのか(上)

女性が長く働ける職場への入り口

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 今年も大学受験シーズン到来だ。どの大学を受験するか悩む学生も多いだろう。教育や女性問題を取材する一記者として、私はいままでも「女子大は良い」と訴えてきた。今回はその延長にある記事である。女性も結婚出産後も働き続けるのが当然という流れの中で、やはり、女子大はメリットが大きい存在なのだ。

家政学部が持つ専門性の強み

就職活動の対策に、新聞の活用の仕方が説明された女子大生就活フェア=2006年12月、仙台市青葉区拡大就職活動の対策に、新聞の活用の仕方が説明された女子大生就活フェア=2006年12月、仙台市青葉区
 日本の女性の社会進出がうまくいっていないという説の根拠として、国会議員や大企業の管理職といった男性中心の世界で、女性が少ないことが挙げられる。

  しかし、実際には、女性が主体となっている職種もあるのだ。自治体職員や小学校教諭といった仕事は給与条件も悪くないが、女性が管理職というケースも多いし、定年まで勤めることも多い。

  女性が長く働けて、能力を発揮しやすい職種としては、家政の世界もある。

  伝統ある私立女子大の出身者がいう。彼女は栄養学を学び、中堅食品メーカーに就職をした。

  「家政といった分野は男性が少ないので、女性が長く働けるんですよ」

  被服や栄養学、住居学といった家政学部で教える分野の職種は、すでに女性が働き続けている伝統があり、制度や環境的にも能力を発揮しやすいのだ。

  現在は女子学生の就職先の多様化で、家政学関連の職場は、花形とは言いがたくなっている。しかし、「長く働く」「能力を発揮できる」ということを求めるならば、女性が築いてきた歴史がある職種の良さを見つめ直すべきだ。

  家政学部の代表的な専門分野として、被服学科がある。アパレルメーカーに入って、パタンナーやデザイナーといった専門職として活躍することもできようが、今回はもっと身近な職種として、販売職を取り上げてみたい。被服学科だけではなく、女子大の学生は販売職へ進むケースが目立つが、そのキャリアコースにはどんなメリットがあるのだろうか。

販売職という伝統

  昨今は販売職や小売業への就職は、かつてのステイタスを失っているように見受けられる。1990年代に女子大生向けのファッション誌の就職特集で、こんな記事を見たことがある。名門女子大の学生が「都市銀行や総合商社からも内定をもらったけど、自分の職業観と違うので、百貨店に決めました」とコメントをしていた。

  当時、女子大の学生はどんなに優秀でも、銀行や商社だと一般職でしか就職できなかった。銀行で社内結婚をすれば、女性は退職しなければならないという時代でもあった。この女子学生はキャリア志向が強かったゆえに、小売業を選んだ。女性でも能力があれば、やりがいがある仕事を任せてもらえ、また、長く働けるからだ。

  一方、販売職はブラックという報道もある。昨今はやりの「貧困女子記事」で、 ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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