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デフレ日本でバレンタイン商戦がバブルの訳(中)

突出するゴディバの完璧なマーケティングとPR手法

杉浦由美子

 前回の記事では、成熟した日本市場で、唯一「舶来品ブランド」として、付加価値が通用するのがチョコレートだと書いた。今回はその中でも突出して日本市場で成功しているゴディバについて書こう。

日本撤退する高級チョコレートブランドも

 デフレの日本にあって、高級チョコレートはこの10年の間に値段が高騰している。複雑でマニアックな味わいのチョコレートも需要が増えている。

唯一の空白県に出店したゴディバ鳥取店でチョコレートを買い求める客たち=2014年11月21日、鳥取市東品治町拡大唯一の空白県に出店したゴディバ鳥取店でチョコレートを買い求める客たち=2014年11月21日、鳥取市東品治町
  しかし、ヨーロッパの高級チョコレートブランドの日本市場での競争は激しい。ベルギーのチョコレートブランド・ノイハウス銀座本店が閉店したが、日本から撤退してしまったようで、探しても売っている場所が見つからない。他にもいくつものブランドが都心の路面店を閉鎖し、日本での展開を縮小したり、撤退したりしている。

  その中で、突出して大成功を収めているのがゴディバだ。2016年には、ゴディバ ジャパン代表取締役社長、ジェローム・シュシャンは『ターゲット ゴディバはなぜ売上2倍を5年間で達成したのか?』(高橋書店)という本も発行している。

  シュシャン氏は高級酒ヘネシーや高級磁器人形リアドロといったヨーロッパの高級ブランドを日本市場で売ってきた人物だ。この本を読むと、彼の敏腕ぶりがよく分かる。

バブル期に接待用に普及したヘネシー

  彼は同書の中で、バブル景気だった頃に日本でヘネシーを売っていった経緯をこう書く。

  「スタッフは、フランスで作られた高級コニャックの高い品質を信じ、販売活動をしていました。ところが、日本の保守的な販売店は潜在市場に対して、協力的ではありませんでした。それは当時、日本人のほとんどが、コニャックについてよく知らなかったからです。それでも、ヘネシーのスタッフたちは諦めませんでした。彼らは、銀座の高級クラブを直接訪ね、ヘネシーのボトルを置くことを提案したのです。いくつかの高級クラブはこの提案を受け入れました。自分たちの顧客に目新しく、品質の高い酒を提供したいと考えていたからです。しばらくして、ヘネシーは少しずつ売れ始めました。高級クラブに来たお客様が、 ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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