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大学の独立法人化が文科省の天下りに拍車をかけた

補助金を握る文科省の顔色を見るようになり、自治を失った大学

和田秀樹 精神科医

衆院予算委で答弁するため挙手する文科省の前川喜平・前事務次官(右から2人目)。左端は同省OBの嶋貫和男氏=2017年2月7日拡大衆院予算委で答弁するため挙手する文科省の前川喜平・前事務次官(右から2人目)。左端は同省OBの嶋貫和男氏=2017年2月7日
 文科省の元局長の早稲田大学教授への就職あっせんを組織ぐるみでやっていたという疑いを受け、この1月20日、内閣府の再就職等監視委員会の調査結果が発表された。

 この中で、文部科学省が改正国家公務員法に違反する「天下り」の組織的な斡旋を行っていたことが明らかにされ、慶応大学でも新たな疑惑が発覚した。

 私は、このような事態にはまったく驚かない。

 むしろ私立だから、チクる人間が現れたのではないかとさえ思っている。

 ご存知の方も少なくないと思うが、現在は、旧来型の国立大学は存在しない。2004年からすべての国立大学は、実は、国立大学法人という名の独立法人である。

  一般の私立大学より授業料が安くできるのは、国からの補助金があるからだが、海外のように資産運用を行ったり、いろいろな会社をスポンサーにして研究費を集めたり、あるいは富裕者が寄付をしたりという文化がほとんどない日本では、大学の経営は、文科省からの補助金が生命線を握る。文科省にへそを曲げられて補助金をもらえなくなれば、授業料をあげてもやってられる大学を除けば、研究費どころか職員の給料も出せなくなる。

  現実にそれ以降は、予算を使って大学を脅すということを当たり前に行っている。

 たとえば、2014年12月22日に、中央教育審議会による「新しい時代にふさわしい高大接続の実施に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」という答申が出されたが、既存のセンター試験を廃止して新テストを導入することと、すべての国立大学の入学試験を、実質AO入試化するという方針が打ち出されている。

  この中で、各大学のアドミッション・ポリシーの策定を法令上位置づけるように提言しているし、主体的に改革に取り組む大学にはインセンティブとして財政的措置を検討するように明言されている。表向きは、改革を行った学校に補助金を足すように見えるが、日本の教育政策として、大学全体の予算を増やすようには思えないので、入試改革をやらない大学は補助金を減らされることになる。おそらく ・・・続きを読む
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筆者

和田秀樹

和田秀樹(わだ・ひでき) 精神科医

1960年、大阪市生まれ。東大医学部卒。現在、国際医療福祉大教授、和田秀樹こころと体のクリニック院長、川崎幸病院精神科顧問、緑鐵受験指導ゼミナール主宰。専攻分野の老年精神医学、精神分析学のほか、大学受験を中心とした教育制度・政策、自ら監督をつとめたことがある映画についての発言も多い。著書に『感情的にならない本』『学び直しの臨床心理学』など。

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