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日本人男性の活躍が目立ったローザンヌ国際バレエ

男性ダンサーの活躍が増えるなか、日本のお稽古ごと文化も変化する?

菘あつこ フリージャーナリスト

ローザンヌ国際バレエコンクールで3位になった中尾太亮さん(右)と4位の山元耕陽さん=2017年2月4日、スイス・ローザンヌローザンヌ国際バレエコンクールで3位になった中尾太亮さん(右)と4位の山元耕陽さん=2017年2月4日、スイス・ローザンヌ
 今年も1月の終わりからスイスのローザンヌで、若手バレエダンサーの登竜門「ローザンヌ国際バレエコンクール」が行われた。2月4日の決勝には20人が進出、日本人では男性3名、女性1名の4名が進んだ。

  私は映像で決勝の模様を観たのだが、15歳~18歳、日本で言えば高校生くらいの年齢の伸び盛りの若手達の踊りは本当にフレッシュで、これからの可能性に溢れていて目が釘付けになる。数年前にも書いたかと思うが、野球で言えばプロ野球ではなくて甲子園の魅力──その世界的なバレエ版という感じ。芸術としての高み、世界トップになるには、これからプロとしてバレエ団に所属して、一歩一歩進んで……ということになる。

  1位に輝いたのはイタリア人の17歳、チューリヒ・バレエ学校に留学中のミケーレ・エスポジート。特にコンテンポラリー、ジョン・ノイマイヤー振付の「ニジンスキー」が秀逸。狂気の表現に観客は惹きつけられ、コンテンポラリー賞とベストスイス賞も同時受賞した。

  そして日本人では、3位に愛媛県出身、マンハイムで学ぶ中尾太亮が、4位に埼玉県のアクリ・堀本バレエアカデミーの山元耕陽が入った。中尾の美しい身体のラインを活かし、とても品良く押さえた演技での「白鳥の湖」の王子のヴァリエーション、山元のハツラツとした「ラ・フィーユ・マルガルデ」のコーラスのヴァリエーションともに魅力的。

  惜しくも8位までのスカラシップには入らなかったが、決勝進出したあとの2人、太田倫功は品を持った伸びやかさが魅力的、また、藤本結香のチャーミングで表現力たっぷりな踊りにも、これからが楽しみになった。今年は特にレベルが高かったという声が多く、その中でベスト8に日本人が2人も入ったのは喜ばしいことだと思う。

  さて、その入賞した日本人2人が男性、男性の活躍が目立った結果だ。一昔前には、日本でバレエというと“女の子のお稽古ごと”。今、50歳代以上くらいの男性バレエ関係者に聞くと「小学生時代はバレエを習っていることを学校の友達に隠していた」という話をよく聞く。

  けれど、例えば、昨年、英国ロイヤルバレエのプリンシパルに昇進した平野亮一さんに、彼が高校生の頃にインタビューした時、「学校の友達もみんな、僕のバレエを応援してくれていて」と話していたことをおぼろげに記憶している。彼は30歳代、もちろん、個々の学校や地域による違いもあるだろうけれど、少しの間に随分変わったように思える。

 実は、かなり前から、日本人の男性にはバレエに向いた身体能力の人が結構いるのではないかとバレエ教師は思っていたようだ。それというのも、“体操ニッポン”などと言われて、

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