メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

共感される不倫、叩かれる不倫。その差は?(下)

なぜアラサー女は中高年と不倫しなくなったか

杉浦由美子 ノンフィクションライター

1990年代の不倫は性と金の交換だった

  バブル崩壊後、20年以上が経ち、不倫の形も大きく変わった。前回述べたように、現在、不倫の主役は主婦である。一方、かつての不倫の主役は未婚女性とお金を持っている妻子持ちオヤジだった。

  この旧来型の不倫が主流だった1990年代を、エッセイストの酒井順子はベストセラーになった『負け犬の遠吠え』(講談社、2003年発行)の中でこう描く。

  “面白そうなことを、どうしても選んでしまう。これは負け犬の性であり、業であります。

  たとえば23歳の若手OLが、同じ日に2人の男性から誘われたとしましょう。1人は、素朴で真面目で今のところは貧乏で話題の貧困な同い年の男性。彼は「東京一週間」に載っていた新しい居酒屋に行こうと言っています。

  もう1人は、既婚で物識りでマスコミの仕事をしている年上の男性。彼は、行きつけのフグ屋に行こうと言っています。

  その時、勝ち犬的素養を持つ女性であれば、たとえそれまでの人生の中で一度もフグを食べたことがなかろうと、「フグ屋に行ってはならない」という天からの声を聞き、前者と居酒屋でデートするはずです。

  ところが負け犬的な要素を持つ女性は、「フグってどんな味なのか?」という好奇心に抗うことができません。ついフラフラとフグ屋に行ってしまった結果、てっさだのヒレ酒だのそして不倫だの、知らずに一生を終えても何ら問題もない「面白いもの」の味を、覚えていくことになる。(中略)不倫によって年上の男性の経済力や包容力等の味を一度しめてしまった女性の目に、同世代の男性がつまらなく見えてしまうことも、ままあります”

  つまり、不倫のきっかけは「おいしいものを食べたり、高級ホテルに泊まったり、 ・・・続きを読む
(残り:約1852文字/本文:約2639文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
デモクラシーやJournalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

杉浦由美子の新着記事

もっと見る