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なぜ伊勢丹はなくなってはいけない企業か(上)

迷走した改革、モノ消費からコト消費への移行は本当か?

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 三越伊勢丹の大西洋社長(61)が任期途中で退任する。この騒動は3月の経済ニュースの中でも大きく取り上げられた。また、郊外店や地方店の閉鎖も相次いでいる。三越伊勢丹はどうなっていくのか。1回目では大西社長の改革への疑問に言及し、2回目と3回目では三越伊勢丹という企業がなくなってはいけない理由について考えていこう。

エステ会社買収はトレンド外れ

  大西社長が展開した改革のひとつに、消費者が体験する「コト消費」ビジネスへの投資があった。ブライダル会社、エステ会社、旅行会社を買収したが、それほどうまく行っているようにはみえない。特にエステ会社の買収には首をかしげる。

  なぜなら、エステという業種は今後苦戦が予想されるからだ。2016年に脱毛エステ最大手の『ミュゼ プラチナム』の経営難が報道された。なぜ、脱毛エステが苦境に陥っているかといえば、美容クリニックで、レーザーを使った医療脱毛が安くなってきているからだ。エステ脱毛とは比べようにならないほど医療脱毛は効果がある。

  つまり、客がエステから美容クリニックに流れているのだ。テレビで大々的に宣伝をするクリニックもあり、美容クリニックの敷居が低くなっている。今後はシミ取りやアンチエイジングといったスキンケアも、エステからクリニックに客が流れていくだろう。スキンケアもレーザー治療の効果は格段に高いからだ。

成功する改革は“既存のノウハウが活かせる事業”

  いろいろな企業の改革をみているが、結局は、既存のノウハウの延長にあるビジネスが成功しているようにみえる。

  食品会社や製薬会社が通販化粧品をてがけている。あれは元々化粧品メーカーの下請け的なことをやっていたので、化粧品を作るノウハウがあったから、成功させられた。

  また、富士ゼロックスは現在主軸としてITシステム受託構築に力を入れている。書類をペーパレス化し社内で効率的に共有させるシステムや、大学内で必要なテキストをオンデマンドで印刷するシステムを提供しているが、これもコピー機メーカーのノウハウが活かされているはずだ。

  百貨店業界も同じであろう。高島屋が ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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