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自由で許容力のある街めざすLGBT支援策(上)

同性同士のパートナー証明書を全国で初めて発行した渋谷区が進める可視化

田中敏恵 文筆家

 近年一気に認知度が上がってきたLGBTという言葉。レズビアン、ゲイ、バイ・セクシャル、トランス・ジェンダーの頭文字をとった、性的マイノリティを総称する際に用いられる用語だ。ここ最

性的少数者への理解を求めるパレードに参加し、沿道などに手を振る人たち=2016年5月8日、東京都渋谷区性的少数者への理解を求めるパレードに参加し、沿道などに手を振る人たち=2016年5月8日、東京都渋谷区
近はニュースで使われることをはじめ多くのメディアでの露出が増えており、それと正比例するかのように各地で催されるイベントへの参加者も多くなっている。人々の関心と認知度の高まりの現れといえるだろう。

  そんなイベントの代表的存在といえるのが虹色ダイバーシティが主宰し、2012年より開催されている東京レインボープライド。昨年、フェスタの来場者が7万人を超え、パレード参加者は4500人にのぼり、その数はいずれも同イベントでの最多数となる。ちなみに虹色は多様性(ダイバーシティ)を象徴する色として世界中で使われている。

  個々や団体による取り組みは学生にも派生しているが、自治体において、LGBTへの取り組みが先駆的といえば東京都渋谷区が筆頭に挙がるだろう。平成27(2015)年4月1日より「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」が施行。全国で初となる同性同士のパートナーシップ証明発行などが組み込まれたこの条例の元、区では渋谷駅西口よりほど近い場所に渋谷区男女平等・ダイバーシティセンター・アイリスという拠点施設が出来、各種相談の窓口を設けるほか、講座や講演を企画したり、啓蒙用の冊子の作成し無料で配布している。

  区の職員へのLGBT研修はもちろんだが、教育の現場での取り組みも行っており、平成27年度には区内の幼稚園長、副園長および小中学校の校長、副校長へのLGBT研修を完了。今年度から3カ年をめどに全教員への研修を予定している。

  現在この渋谷区の取り組みを牽引しているのが、渋谷区総務部の男女平等・ダイバーシティ推進担当課長である永田龍太郎さんだ。東急エージェンシー、ルイ・ヴィトン日本法人、GAP日本法人を経て2016年より渋谷区の職員にというユニークなキャリアを持っており、メディアでも注目される存在である。

  「LGBTという言葉に関して言えば、ただ認知度を上げるというだけの取り組みではなく

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