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若手の躍動で見えてきたなでしこジャパンの輪郭

高倉体制の国内デビュー・コスタリカ戦で勝利、監督が示した「マイナス4」の意味

増島みどり スポーツライター

コスタリカ戦の前半、攻撃を仕掛けるFW横山=2017年4月9日、熊本・えがお健康スタジアム拡大コスタリカ戦の前半、攻撃を仕掛けるFW横山=2017年4月9日、熊本・えがお健康スタジアム
 遅い満開の桜に彩られた熊本県民総合運動公園陸上競技場(えがお健康スタジアム)には、日曜夜にもかかわらず8000人以上のファンが詰めかけていた。1年前の2016年4月14日、熊本地方を襲った大地震発生直後から、スポーツを楽しみ、戦うためのこの県民スタジアムは一転、全国から集まる救援物資やボランティア活動最大の拠点と代わり、多くの競技会を中止せざるを得なかった。

  4月9日、日本サッカー協会は女子日本代表「なでしこジャパン」(世界ランキング6位)とコスタリカ女子(同30位)の親善試合(3-0)を復興支援としてこのスタジアムで主催。それは、スポーツの持つ前向きなメッセージを熊本スポーツのいわばシンボルから発信するだけではなく、昨年、リオデジャネイロ五輪出場権を逸した日本女子サッカー界にとってもまた、再生への大切なスタート地点、国内デビュー戦ともなった。

  高倉麻子氏(48)が、20年東京五輪を目指してサッカーでは初の女性代表監督に就任して1年が経過したが、試合はこの日まで7試合(2勝1分け4敗)全て海外遠征で行われてきた。国内戦は、リオ五輪アジア最終予選で出場権を逃がす(大阪)惨敗を喫して以来1年ぶりでもある。

  「復興支援はもちろん、被災地での皆さんの勇気にこちらが教えられた。私たちにとって本当の意味で、20年東京、19年フランスW杯のスタートを切る試合になる」

  そう話していた監督のメッセージは、メンバーの平均年齢に明確に表れた。11年ドイツW杯優勝から五輪出場を逃がすまで、世代交代が困難になってしまった昨年までは先発平均も27.2歳。それがコスタリカ戦では22人でも23.3歳と4歳近く若返った。

  「年齢で選手を評価した事はありません」

  監督は試合後、そう明言して加えた。

  「きょう先発に選んだ選手たちの若さ、経験には(ベテランとの)大きな差がない、と思えた試合だった。まだ一度も代表に呼んでいない選手があと数名、それに今の選手たちを加えたチームが、フランスW杯、東京五輪へのベースになっていくと考えます」

  4大会連続での五輪出場を逸してから、タイトル戦や予選がなかったこの1年間、監督は時間をかけて代表選手を選び、試し、また選ぶ作業を地道に繰り返した。チームの顔となるキャプテンマークを、澤穂希から宮間あや、次に誰の腕に巻かせるのか。それさえ1年かけてようやく、W杯優勝メンバーのDF熊谷紗希に渡すほど慎重を極めた。

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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

スポーツライター。1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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