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森友学園疑惑で新展開、安倍昭恵氏の関与が焦点

「愛国には作法がある」という厳しい評価も 注目される大阪地検の捜査の行方

前田史郎 朝日新聞論説副主幹(大阪駐在)

 やはりこの問題のかぎは安倍首相の妻、昭恵氏ということがはっきりしてきた。本人が公の場で語らない限り、真相は解明しようがない。

 4月28日、森友学園の籠池泰典前理事長が、約1カ月ぶりに公の場に姿を見せた。民進党の聞き取り調査に応じたのだ。すでに理事長を退き、小学校の認可申請を取り下げたが、その表情は以前とそうかわらない。3月、衆参両議院で2時間ずつ証人喚問にのぞんだタフさは、健在のようだ。

  「小学校の建設構想が具体的に走り出した直後の平成24(2012)年10月ごろ、まず真っ先にこの構想についてご相談申し上げたのは、尊敬する安倍晋三首相のご夫人、昭恵先生です」

  「平成26(2014)年3月、講演依頼のため昭恵夫人と東京のホテルで会った。その席で小学校建設について話すと、『主人に伝えます』といっていただき、さらには『何かすることはありますか』とまでいっていただき、うれしかった」

  この日の主題は、財務省の担当者が学園側との交渉で「特例」と発言した録音記録についてである。

  学園は国有地を借り、15年から工事を始めたが、翌16年3月、大量のごみが埋まっていることが判明。籠池氏は3月15日、財務省で国有財産審理室長の田村嘉啓氏らと面会した。録音はそのときのものという。
録音によると、財務省側は国有地の定期借地について、「貸し付けは特例だった」と発言。籠池氏は「特例というのはこのことか、ありがたいことやな、と思った」と述べた。

  籠池氏はさらに、昭恵氏に小学校建設の進捗状況を適時報告していたことや、財務省がそれまで後ろ向きだった定期借地に前向きになったことなどを説明した。

  昭恵氏の存在をちらつかせると、財務省が前向きに対応するようになり、物事がスムーズに進む――。森友学園側の話から浮かぶのは、昭恵氏が単なる「名誉校長」や「私人」ではなく、学園にとって小学校建設の頼みの綱だったことだ。

  安倍首相は、国有地売却への自身や昭恵氏の関与を繰り返し否定し、「私や妻が関係していたことになれば首相も国会議員も辞める」と明言している。

  これで「関与していない」なら、いったい何をすれば関与したことになるのだろう。
財務省は、この録音について「確認していない」と逃げている。黙殺すればするほど、新たな証拠を突きつけられ、追い詰められる。今の財務省の苦しい立場を象徴している。

                    ■

  学園側は今、かなりせっぱつまった財政状況にある。

  4月20日夕、大阪市役所。

  「聞いてください!」「お願いしますから」

  大きな声が部屋の外まで届く。籠池氏の妻、諄子氏が、自身が園長を務める認可保育園で保育士の人数が足りていないことについて、説明にきたのだ。面会は1時間以上に及んだが、諄子氏からは、保育士増員への具体策は出ず、「会話が成り立たない状況」(大阪市)で ・・・続きを読む
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筆者

前田史郎

前田史郎(まえだ・しろう) 朝日新聞論説副主幹(大阪駐在)

朝日新聞論説副主幹(大阪駐在)。1961年生まれ。神戸、広島支局、東京・大阪社会部で事件や行政、核問題、厚生省クラブなどを担当。社会部デスク、教育エディター、大阪・社会部長、同編集局長補佐、論説委員、編集委員を経て15年1月から現職。気象予報士。著書に『核兵器廃絶への道』(共著)。

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