メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

神田沙也加は母と同じ道を歩むのか(下)

「松田聖子の子という悲劇」に負けない健気な子というブランディング

杉浦由美子 ノンフィクションライター

二世タレントとして注目を集めてきた神田沙也加=2015年9月、大阪市北区拡大二世タレントとして注目を集めてきた神田沙也加=2015年9月、大阪市北区
  神田沙也加が結婚をし、話題を集めた。さて、この結婚がなぜ大きく取り上げられたかといえば、神田沙也加と母・松田聖子の関係性が興味深いからだ。娘の結婚にコメントすらしなかった松田聖子が結婚式に現れるかどうかも注目された。また、派手な結婚式をテレビ放映した両親とも比較された。

  これらの報道が沙也加にとってストレスになっていることは確かだ。

  夫の村田充のブログをみると、結婚式前に2人で出かけると、記者やカメラマンから心ない質問を浴びせられ、沙也加が走り出したとある。守ってあげられなかったことを村田は後悔している。

  なぜ、神田沙也加がここまで週刊誌に追い回されるかといえば、松田聖子の娘だからである。

  日本のミュージカルシーンのトップ女優たちが結婚するとなっても、週刊誌もテレビのワイドショーもここまで追っかけ回すことはまずないだろう。

聖子は歌う「ママのようなつまらない生き方はしたくない」

  松田聖子は天性の美声を持つすばらしい歌手であるが、それと共に、スキャンダルで注目され続けてきた。

  アイドル時代、聖子ファンのほとんどは男性だったが、今ではバブル世代の女性とオネエの人たちがコアなファン層だ。つまり、可愛いアイドルだったのが、同性に人気の歌手として成長した。

 その一つの要因として、数々の恋愛スキャンダルがあるだろう。2回の離婚と3回の結婚。アメリカ人男性たちや有名ミュージシャン、そして、マネージャーなどと数多くの浮き名を流した。一度はバックダンサーからセクハラの訴えも起こされた。

  それらによって、注目され、プラスにしていったのが松田聖子というスターだ。

  バッグダンサーとの恋愛が報道されているさなかに、聖子はステージの上でそのダンサーの名前を呼び、一緒に踊った。

  スキャンダルは芸の肥やしと考えているように見える。

  そんな聖子がなぜバブル世代から人気を博すのか。それは聖子がバブル世代にとっての「フェミニズムの象徴」だったからだろう。聖子が出産後も歌手として活躍する様は、「ママでもアイドルだからママドル」と表現された。

  結婚しても、出産しても、ほぼ休みなく、第一線で歌手として活躍する。そして、恋愛もし、アメリカ進出も試みる。2005年には40代で水着姿も披露する写真集を出版した。

  心理学者の小倉千加子は『松田聖子論』(朝日文庫)の中でこう書く。

  “制度への反抗と回帰の間で揺れながら、最終的には「ママのようなつまらない生き方」を自ら繰り返そうとしない〈決断〉が聖子にはあります。「ママのことは好きだけど、ママの人生を私に強要するのはやめてね」とやさしく、しかし明快に聖子は言うのです。”

  機会均等法が施行され、 ・・・続きを読む
(残り:約1194文字/本文:約2425文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
デモクラシーやJournalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

杉浦由美子の新着記事

もっと見る