京都・東寺近くの史跡でバーチャルな画面を眺め、1200年前に思いを馳せる
2017年06月06日
京都市南区役所と花園大学が共同研究して「AR羅城門」を配信したのが1年前のこと。そして先ごろ5月15日にバージョンアップされた「AR西寺・羅城門」が配信されたところだ。ちょうどその週末が、東寺の‘弘法さん’(毎月21日の縁日)とあって、けっこうな人混みとなった。
羅城門址も西寺址も、住宅に囲まれた児童公園になっていて、西寺の礎石と石碑が立つのみ。日頃は近所の方が散歩するぐらいで目立って訪れる人もいないところである。
そこに観光バスツアーの御一行がやって来て、スマホをかざしてウロウロ歩きまわる。感知できる地点に着くと、いきなり画面にCGの羅城門や西寺が現れ、360度展開するからだ。外観ばかりでなく、軒下の柱から組まれた挿肘木の意匠まで再現されていて、実際に楼閣を訪れたような目線で、天井、柱、壁面と、角度をかえて見ることができる。
さらに、カメラのアイコンがみえる地点では、記念撮影をすることができる。実景にCGの羅城門が重なり、正当な記念写真はもとより、撮り方によっては、羅城門の大屋根の上に立ったり、楼閣によじ登ったりしているようなトリック写真が撮れる。
新幹線からの眺めで、ある意味京都を象徴する東寺の五重塔。木造建築では最長といわれる。東寺の伽藍は何度も焼失しているが、その位置は創建当時のまま、微動だにしていない。小説家の司馬遼太郎氏は、「京都に来ればまず東寺」といっていたが、なるほど1200年前に思いを馳せるなら、平安京のランドマークは東寺であろう。
東寺は、羅城門を挟んで西寺と対をなしていた。唯一現存する東寺を起点に、九条通を西へ800メートルほど歩いてゆけば羅城門址に着く。そこからさらにほぼ同じ距離を西へゆくと西寺址(現・唐橋公園)だ。平安京の二大官寺が、羅城門の左右にあったことが自分の歩幅で測ることができる。
先のアプリには
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください