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小泉進次郎と「こども保険」の正当性とは(上)

“子育てはリスク”と捉えている点に画期性がある提言

杉浦由美子 ノンフィクションライター

新たな社会保障の政策を提言した自民党衆院議員の村井英樹、小泉進次郎、小林史明の角氏(右から)=2016年12月21日、東京・永田町拡大新たな社会保障の政策を提言した自民党衆院議員の村井英樹、小泉進次郎、小林史明の角氏(右から)=2016年12月21日、東京・永田町
 自民党の小泉進次郎衆議院議員を中心とする若手議員から構成される小委員会が提言した「こども保険」に批判が集まっている。年金の保険料に0.1%ほど上乗せして徴収し、それを財源に未就学児家庭への手当を増額したり、将来的には保育園の無償化に結びつけたりしていきたいというものだ。

  これに対して、「これは増税であり、それを保険というのはおかしい」と言う反論が目立つ。そういう反発は想定内で、小泉進次郎たち若手議員はこの新しい社会保険を提言しているわけたが、なぜ、わざわざ「保険」として打ち出すのか。増税よりも保険と言った方が響きが良いからというだけではないように思える。今回は「こども保険」に対して、「保険は病気や怪我、介護などの将来のリスクに備えるもの。子供を持つことはリスクではない」という批判について考えてみたい。

長生きや病気には社会保険があって、子育てにないのはおかしい

  先に紹介したように、「これは保険ではない」という批判が目立つ。「保険というのはリスクに備えるもの。病気や怪我になった時のために私たちは健康保険料を支払う。子供はリスクではないから保険という言葉を使うのはおかしい」という内容だ。

  しかし、3月29日の提言の段階で、小泉進次郎らは「年金、医療、介護には社会保険があるが、緊急の課題である子育てに社会保険がないのはおかしい」という旨を訴えている。

  ようは介護や病気、怪我と同じように、子育てもリスクだと認識しているのだ。

日本は出産からリスクが大きい

  今回、「こども保険」への批判を見て回ったが、一番驚いたのが、男性の専門家が「出産はリスクではない」と書いていたことだ。まず、妊娠や出産というのは女性からしたら十分にリスクがあろう。そして、そこから子育てのリスクは始まる。

 医療の発達で出産時に母親が死亡することは格段に減った。しかし、死亡しないとしても、妊娠出産で体調を崩したり、体質が変わってしまったりということは多々ある。急激に体重が増えホルモン治療を受けたり、乳腺が詰まって手術したりと、出産後、病院に通う女性もしばしば見かける。妊娠が体質に合わない女性も存在するが、それは事前に分からないから、前もっての予防もできない。

 さらに、日本の出産環境はいまだにお粗末で、 ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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