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小泉進次郎と「こども保険」の正当性とは(下)

誰しも「子供を持つ」というリスクが実はあるのでは

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 前回の記事では、「こども保険」は“子育てはリスクである”と認識している点が画期的だと書いた。

低下傾向にある出生率。子どもをあやしながら情報交換する母親たち=2016年9月15日、岡山県奈義町拡大低下傾向にある出生率。子どもをあやしながら情報交換する母親たち=2016年9月15日、岡山県奈義町
  6月2日の厚生労働省が公表した『人口動態統計(速報値)』によると、1人の女性が生涯に産む子供の推計人数「合計特殊出生率」は1.44となり、前年より0.01ポイント低下。出生数が97万6979人と初めて100万人を切った。労働人口減少で人手不足が深刻化する中で、少子化に歯止めがきかない。それが日本の現状だ。

  なぜ、こうなっていくかといえば、多くの人たちが“子供を持つことはリスク”だと認識しているからだろう。しかし、それは口に出してはいけない日本語である。口にしたら、一生懸命子育てしている人たちに失礼になるかもしれないからだ。

  成熟した日本人が子供はリスクだと知らないわけがない。だから、産まないのではないだろうか。ちなみに出産適齢期である20代から30代前半の女性達が人工中絶をする数は、日本は世界の先進国の中でも高い。

  そういう状況の中で、小泉進次郎らの若手議員たちは「子供というリスクに備えた社会保険を作ろう」と言っているのだから、現実を見据えた提言だと言えよう。後半では「こども保険」に対する批判のひとつ「子供を持たない人たちは世帯は保険料だけ払ってリータンがない。保険ではなくて増税である」という批判について検討したい。

60歳になっても母親になる可能性はある

  ドラマ化も成功した『逃げるは恥だが役に立つ』(海野つなみ・講談社)の中で、アラフィフ未婚の百合が見合いをする。もう年齢的に出産の可能性がない自分も、子連れの男性と結婚すれば、子供を持つことになると百合が考えるシーンがある。これは現実でも多くの独身者に当てはまるのではないか。

  自分は結婚することはないと思っていても、高齢化の現在、先になにがあるか分からない。60代の女性が、年下の男性と結婚し相手の連れ子の親になるということもありえよう。

  また、自分は子供がいなくても、兄弟に子供がいる場合、その兄弟にもしものことがあったら甥や姪を引き取ることに ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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