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スティングの来日公演でみた親子の絆

バックコーラスとして参加していた息子のジョー・サムナー

薄雲鈴代 ライター

英国のミュージシャン、スティング=1999年、東京都内拡大英国のミュージシャン、スティング=1999年、東京都内
 薄暗い舞台の袖から、静かに現れたのは、スティングだった。

 先日(6月6、7、8日日本武道館、10日大阪中央体育館)行われた来日コンサートでの冒頭のことである。

  海外アーティストのコンサートの場合、まずオープニングアクト(前座)があって、いよいよ主役の登場となる。今回の場合も、ジョー・サムナーがスペシャルゲストと銘打たれていた。海外のコンサートに行き慣れている人は、18時半からの開演であっても、若手による前座と休憩を一時間程度見越して、本番までに会場へ来る人が多い(実際、仕事帰りに駆けつけるのに18時半は厳しい時間である)。

  だから見逃した人も多くいるはずである。

  当然、若いアーティストが登場すると思いきや、スティング本人と、スティングの右腕であるギターのドミニク・ミラーがスタスタと上手から歩いてきて、アコースティックギターで弾き語りをはじめたのである。思いがけない主役の出現に、スティングだと気づいた観客がワンテンポ遅れて悲鳴に近い歓声をあげた。

  ワンコーラス歌ったところでスティングは、「わたしの息子ジョー」と日本語でジョー・サムナーを紹介し、一曲歌い終わると、息子にバトンタッチして、スティングはすごすごと引き上げて行った。

  本来は最初の一幕で若手のアーティストが場内を盛り上げ、熱気をおびたところで大御所スターの登場となるのだが、その前座を紹介するためにスターさん自ら登場して、一曲サービスされるのだから驚きである。

  当然ながら一時間後に本編が始まると、一曲目の第一声から最高潮で、たて続けに20曲を休みなく歌い続け、更にアンコール2回も加え、全編余すことなくスティングの真骨頂であった。場内からは、「とても65歳とは思えない」と感嘆の声があがっていた。

  開口一番、雰囲気に乗せられて立ち上がったアリーナ席の観客たちであったが、ファンもそれ相応に歳を重ねているので2時間の立ちっぱなしは、けっこう体に堪えているようであった。しかし、舞台上のスティングはそんなことなどどこ吹く風で、迫力の演奏を息も乱さず疾駆した。彼の日ごろからの鍛錬を目の当たりにし、誰もが圧倒された。

  本編では、先のジョー・サムナーもバックコーラスとして参加していた。日本公演なので ・・・続きを読む
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筆者

薄雲鈴代

薄雲鈴代(うすぐも・すずよ) ライター

ライター。京都府生まれ。立命館大学在学中から「文珍のアクセス塾」(毎日放送)などに出演、映画雑誌「浪漫工房」のライターとして三船敏郎、勝新太郎、津川雅彦らに取材し執筆。京都在住で日本文化、京の歳時記についての記事多数。京都外国語専門学校で「京都学」を教える。主著に『歩いて検定京都学』『姫君たちの京都案内・源氏物語の恋舞台』『ゆかりの地をたずねて新選組』。

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