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百合子ファースト演説会のすごさをレポート(上)

都知事としての手腕に疑問をありでも、なぜ女性有権者は小池を見たいのか

杉浦由美子

公明党の都議選立候補予定者を応援するため、街頭演説で手を振る小池百合子都知事=2017年5月4日、東京都足立区拡大公明党の都議選立候補予定者を応援するため、街頭演説で手を振る小池百合子都知事=2017年5月4日、東京都足立区
 東京都議会選が近づいてきたため、都内の駅前などで立候補予定者たちが演説をしている。告知前なので「弁士」という肩書で都政改革を有権者に訴えている。しかし、立ち止まる人はいないし、誰も関心すら示さない。
そんな中、西東京市中の住宅の郵便ポストに「都民ファースト 街頭演説会のお知らせ」のチラシが入っていた。都知事で都民ファーストの会代表、小池百合子が西東京市にくるという。

夏祭りよりずっと集客力がある

  演説会の日曜日当日、駅前には大勢の人たちが集まっていた。街の住民曰く「こんなにに人手が多いのは初めて見た。夏祭りよりたくさんの人が集まっている」とのこと。開始予定時間の30分前から待っている40代女性は「小学生の娘が小池さんを見たいというから付き添っている」とのことだった。

  途中で夫がやってきて、「交代しよう。僕が付き添うから休んできたら?」と声をかけると、女性は「いいの。私はSPを見ているから」と応える。都知事ともなると、SPも二桁近くついている。白いシャツの上に黒いジャケットをはおり、“SP”のバッチをつけた男性たちは、非日常的な空気を放っていて、確かに物珍しかった。中にはそこそこかっこいいSPもいて、女性の聴衆からすると見ていて楽しい絵なのだろう。

  さて、西東京市とはどんな場所か。東京23区の西側に位置し、西武線が通る地域である。

  隣接する武蔵野市比べて不動産価格が低く、それでいて、都心へのアクセスが良いので、マンションや建て売り一戸建てが立ち並ぶ。外から移り住んできたサラリーマン世帯が住民のほとんどだ。そのため自民党の基盤は弱い。幸福の科学の施設があるせいか、幸福実現党のポスターが目立つ。また共産党のポスターも多いが、住民のほとんどは無党派層だ。

  今回の都民ファーストの演説会も、都政への興味というよりは、日本で最も有名な60代女子・小池百合子を見たいという見物気分の人々がほとんどのようだった。パルコやコジマビックカメラ、ニトリといった店に囲まれた場所だったので、女性や家族連れが買い物のついでに百合子見物をしているという様相だ。

  小池百合子都政に対して「ワイドショー政治」と批判する声をよく聞くが、残念ながら皮肉にすらなっていない。演説会の前にスタッフは「今からテレビのワイドショーでおなじみの小池百合子がきます」と声もさわやかに宣伝していた。「ワイドショー政治」は小池百合子にとっては意識的にやっている戦略なのだから。

声援はなく、シャッター音だけが響く

  都知事選の時の演説を動画配信で見ていると、女性を中心として小池への声援も多かった。しかし、この日の演説会では小池が現れても、歓声すらほぼなく、聴衆は黙々とスマートフォンのシャッターを切っていた。その一方で「きれいね」という声はいくつか耳に入ってきた。声の主は小池と同世代の“アラ還”の女性たちだ。今月、小池の写真集『YURiKO KOiKE 1992-2017』が双葉社から発売となった。

  通常、写真集は初版5000部も刷れば多い方だが、 ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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