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進化したホストクラブの新たな問題点(上)

女性巡査はなぜ横領までしてホストクラブに通ったのか

杉浦由美子

目がくらむようなホストクラブの入り口。朝9時まで営業=2001年、東京都新宿区歌舞伎町拡大目がくらむようなホストクラブの入り口。朝9時まで営業=2001年、東京都新宿区歌舞伎町
 昨今、女性が事件を起こし、その背景にホストクラブがあるケースが目立つ。詐欺罪で有罪判決となったタレント女医の脇坂英理子、恐喝未遂容疑で逮捕された二世タレントの坂口杏里(現在はセクシー女優に転向してANRIIと名乗る)などの著名人の例が話題になった。

  しかし、一記者として私が最も興味を持ったのは、今年4月に神奈川県警の女性巡査がホストクラブに通うために旅行積立金154万円を着服したという事件だった。巡査は停職3カ月の処分を受け、自主的に退職した。若い公務員の女性がホストクラブにハマり、不正をし、仕事を失うというのは珍しいからだ。

  一昔前の感覚だと、ホストクラブは、ギャバクラ嬢や風俗嬢といった接客業の女性が仕事の後に遊びに行く場所だった。

  接客の仕事をする女性たちは仕事で溜めたストレスをはき出すために、ホストクラブに通う必要があった。

  そのため、会社員や専門職、学生といったいわゆる“素人女”がいっても楽しい場所ではなかった。その「楽しくない様子」が描かれているのが、『うさたまのホストクラブなび』(中村うさぎ・倉田真由美/角川文庫)である。倉田真由美は本書の中で「あの中村うさぎと日本中のホストクラブ回るなんて面白そうな仕事」と感じこの仕事を引き受けたというが、次のページでは「もう一生ホストクラブには行きたくありません」と仕事を終えた感想を述べる。

  倉田真由美がホストクラブを回ったのは、2000年代初頭で、その頃のホストクラブにはたいしてイケメンもおらず、接客もさほどレベルが高くなかったからだ。それでも、キャバクラ嬢や風俗嬢たちはお金を沢山持っていたので、ホストクラブに金が落ちたのだ。

歌舞伎町浄化でホストクラブは進化した

  しかし、2004年から始まった都の歌舞伎町浄化作戦や2005年の風営法の改正でホストクラブの経営は大きく変化していく。それまでのホストクラブは朝まで営業をしていて、仕事を終えたキャバクラ嬢や風俗嬢が流れてきていた。

  風俗雑誌の女性記者がいう。

  「2000年前半ぐらいに取材したソープ嬢が、仕事を終えて、ホストクラブに行って、ホストとホテルでセックスをすると話していた。性的なサービスをした後に、性的なサービスを受けることでストレスが発散できるんだなと思った」

  そうやってホストたちは稼いでいたが、2000年代後半は行政の指導が厳しくなり、キャバクラや風俗、そして、ホストクラブも深夜12時から日の出までは営業ができなくなる。

  そういった影響で店舗型の風俗店が減り、風俗産業自体が苦境になると、風俗嬢たちがホストクラブに落とす金額も減っていく。

  2000年代後半に、端正な顔立ちのホストが「風俗やってるのに月に20万円しか使えない ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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