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なぜ女子は医学部受験で男子に負けるのか(上)

進学女子校で小学校から入ってくる子が“学力エリート”な理由は

杉浦由美子 ノンフィクションライター

リケジョ応援講座で実験に挑戦する女子中学生=2012年8月、愛知県刈谷市の愛知教育大拡大リケジョ応援講座で実験に挑戦する女子中学生=2012年8月、愛知県刈谷市の愛知教育大
 この欄ではたびたび女子校教育について取り上げている。10年前は女子校のトレンドは「キャリア」であった。大企業の総合職としてバリバリ働くような女子を育てようというトレンドがあった。しかし、それが現在はワークライフバランス、つまり、「結婚して子育てをしながら働き続ける」ことを目指すようになっている。

 そのためには、やはり、手に職があるのが有利なわけで、医師や薬剤師、看護師といった医療系の専門職を養成する大学への進学を希望する学生は多いし、また、民間企業への就職が好調な理系学部を希望するリケジョも増えている。

  しかし、大学受験合格者の数を見れば、東大や国立医学部といった超難関は、以前として、男子学生が大半を占める。これだけ女子の教育熱が高まっているのに、どうして東大や国立医学部の受験では女子合格者の数字が飛躍的に伸びないのか、について今回は考えてみたい。

学力重視の小学校入試

  今回、「なぜ女子の東大や国立医学部受験の合格者が増えないのか」というテーマを取り上げようと思ったきっかけは、小学校から高校まで繋がっているミッションスクールの女子進学校内部の構造を耳にしたからだ。本稿では上の大学にエスカレーター式に上がれる付属校ではなく、大学受験に向けたカリキュラムになっている女子校を「女子進学校」と指す。白百合学園、横浜雙葉、光塩などのカトリック女子校がその代表である。

  小学校からある学校……と聞くと、私のような地方出身者は、「小学校から上がってくる子よりも、中学入試で入ってきた子の方が学力は上」という印象があるが、女子進学校においては違ってくるという。

  横浜雙葉の卒業生(20代後半)がいう。

  「小学校から上がってくる子たちがエリートで、中学入試組は庶民って感じです」

  ここでいう「エリート」というのは親の職業や家庭の経済力の問題ではない。単純に学力のことを指している。横浜雙葉は手厚さで知られ、小学校で中学受験対策的な難問を解かせる。小学校受験も学力重視だ。これは白百合や光塩の小学校も同じだ。大学受験をターゲットにしている以上は、小学校受験も学力を重視して入学させる必要があるからだ。

中学受験組が小学校入学組に学力で勝てないわけ

  私立小学校といっても様々だ。女子進学校に娘を入れたがるのは、教育熱心な家庭だ。母親もみな地味で質素だ。贅沢をせず、節約して、子供の教育費にあてることを美徳と考えている。ゆえにサラリーマンの家庭の子女も実は多い。サラリーマンには既得権がないので、娘に高い教育を与えて、将来、自立させなければと考えるからだ。

  だが、一方で、女子進学校の小学校には医師の娘も多いのは事実だ。かつてならば、「娘は女子大でも行って、医者の婿をとればいい」という発想もあったが、昨今の親は娘を医学部に入れようとする。ようは教育熱心なので、娘を小学校から私立に入れるのだ。

  ある進学女子校の出身者はいう。この女性は中学受験でその中学に入った。

  「小学校から上がってくる子の学力上位層は、中学受験にチャレンジしたら、桜蔭や女子学院に合格するくらい力のある子たちです。私は女子学院を落ちて ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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