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閉会中審査でも解せなかった加計学園優先(下)

京都産業大の除外からうかがえる不自然な決定過程

辰濃哲郎

参院の内閣委と文部科学委による閉会中審査で、参考人として答弁する萩生田光一・官房副長官。後方は左から松野博一文部科学相、山本幸三地方創生相、菅義偉官房長官=2017年7月10日、国会拡大参院の内閣委と文部科学委による閉会中審査で、参考人として答弁する萩生田光一・官房副長官。後方は左から松野博一文部科学相、山本幸三地方創生相、菅義偉官房長官=2017年7月10日、国会
  国家戦略特別区域諮問会議やそのワーキンググループ、地域会議、分科会の議事録を読み直してみると、様々なことが見えてくる。

  加計学園が特区に提案したのは15年6月4日だ。その直後に日本の経済復興の基本プランをまとめた「日本再興戦略改定2015」が閣議決定され、そのなかに「獣医師養成系大学・学部の新設に関する検討」が盛り込まれている。

  ①既存の獣医師養成ではない構想が具体化し、②ライフサイエンスなど獣医師が新たに対応すべき需要が明らかになり、③既存の大学・学部では対応困難な場合、④獣医師の需要動向の条件を満たした場合に検討を行う―とあり、当時の地方創生担当相の石破茂氏が提案したことから「石破4条件」とも呼ばれ、今回問題を考える上でのキーワードの一つにもなっている。

  一方の京産大が獣医学部構想を提案したのは、加計学園より9カ月遅れの2016年3月のことだ。

  愛媛県今治市の加計学園と京都府の京産大の両者が競合することとなったものの、16年11月9日の諮問会議で、文部省の制度改正を行う要件として挙げられたのが「現在、広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」との取り決めだ。原案にはなかった「広域的に」「限り」が加えられたことによって、同じ関西圏に獣医学部のある京産大は事実上、断念に追い込まれた。

  さらに「18年4月開学」というリミットが課せられ、年末には獣医師会からの強い要望に配慮する形で「1校限り」が付け加えられた。

  加計学園に配慮したとみられても仕方のない条件を次々と繰り出したにもかかわらず、官邸や内閣府の建前としては、「加計ありき」ではなく、最後まで両者の構想を公平に審査し、加計学園のみ認定したと言いたいわけだ。

  だが、どの議事録を読んでも、両者の獣医学部構想を比較検討した形跡が見当たらない。

  かろうじてWGが省庁の担当者を呼んでヒヤリングを実施した16年9月の議事録に ・・・続きを読む
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筆者

辰濃哲郎

辰濃哲郎(たつの・てつろう) ノンフィクション作家

ノンフィクション作家。1957年生まれ。慶応大卒業後、朝日新聞社会部記者として事件や医療問題を手掛けた。2004年に退社。日本医師会の内幕を描いた『歪んだ権威』や、東日本大震災の被災地で計2か月取材した『「脇役」たちがつないだ震災医療』を出版。

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