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中学受験夏の陣 塾・学校選びのトレンドは(上)

「テキストで塾を選ぶ」は本当に子供のためになるのか

杉浦由美子 ノンフィクションライター

関西を地盤としてきた学習塾・浜学園が開いた保護者説明会=2013年6月、横浜市都筑区拡大関西を地盤としてきた学習塾・浜学園が開いた保護者説明会=2013年6月、横浜市都筑区
 少子化の進む中、首都圏や関西圏の中学受験熱は高まる一方だ。この夏も子供を塾の夏季講習に通わせている家庭も多いだろう。中学受験にあたって、保護者が悩むのは塾選びである。中学受験経験者の保護者も「私たちの頃とは勢力図が違うし、増えすぎていてよく分からない」と頭を抱えるようだ。

 そこで今回は現在の中学受験の塾事情を中心に中学受験のトレンドについて見ていこう。

サピックスのテキストは完璧

 『受験は母親が9割』(朝日新聞出版)の著者で、子供を4人東大理IIIに合格させた佐藤亮子は、自著の中で塾選びのポイントはテキストだと述べている。

  確かに「子供を灘から東大へ」という野望を持つケースの場合は、このアドバイスに従った方がいい。
しかし、元教員である佐藤亮子の目からみて「良いテキスト」が、すべての

  子供にとって良しとは限らない。佐藤ママが「良い」と思うテキストは、難関校を狙う子には素晴らしくても、それ以外の子供にとっては難しすぎるからだ。

  現在の首都圏地区・中学受験塾の勢力図をみると、サピックスは難関校狙い、早稲田ゼミナールと四谷大塚は学力的に中の上の子たち、そして、日能研は中堅校狙いという傾向があるとされている。

  私が取材でお世話になっている学校教員は、自身の子供を通塾させるのに、これらの大手塾のテキストをいくつかチェックした。教科書を作ったり、入試問題を作ったりしている人物で、教育のプロ中のプロだ。この人物曰く「サピックスの教科書は本当によく出来ている」とのことだった。

  サピックスが難関校の合格者数でトップの数字を出すのは、やはり優れたテキストを使っているからだろう。
しかし、それはあくまでも先天的に優秀だったり、親が手厚くケアできたりする子供とっての「良いテキスト」であって、それ以外のマジョリティの子供にとってはむしろ足かせになるのではないか。

難関塾は一部のエリート以外には足かせになる

  中学受験対策だけではなく、塾事情全体をみていると、親が良しと思って通わせている塾が、子供にとって大きな足かせになっていることが多い。

  この欄の記事でなんども書いてきたが、東大や国立医学部受験対策の鉄緑会という塾がある。テキストも講師たちも本当に素晴らしい。日本でもトップクラスの優れた塾だ。しかし、鉄緑会の授業についていける生徒はそうそういないのだ。

  取材で私が「宿題が多いそうですが」と質問すると、鉄緑会の講師は首を横に振って、こう答えた。「1日30分、週6日。つまり3時間あればできる内容にしています」。しかし、 ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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