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中学受験夏の陣 塾・学校選びのトレンドは(中)

オタク産業化する中学受験産業のターゲットは共稼ぎ家庭

杉浦由美子 ノンフィクションライター

中学受験の塾を終え、集団で最寄り駅まで向かう小学生たち=2005年4月、横浜市青葉区拡大中学受験の塾を終え、集団で最寄り駅まで向かう小学生たち=2005年4月、横浜市青葉区
 中学受験事情がこの10年できく変化をとげているのは、保護者側の事情であろう。中学受験をさせる家庭の世帯収入は700万円以上と言われているが、その内訳が変化している。かつてならば、父親が大半を稼ぎ、妻は子供の塾代のためにパートやバイトに出ているという家庭も多かった。

 しかし、現在、世帯収入700万円以上の家庭の多くは、妻も正社員として働いている。

 そして、このような共稼ぎ家庭こそが、中学受験の対策塾にとってはターゲットになっている。

 ある塾の関係者はいう。

 「高学歴で高収入な正社員ママは教育熱心で、塾に惜しげなく金を支払います。彼女たちは家計をしっかり支えているので家庭内での発言権も強い」

  2回目は、この10年で様変わりした昨今の中学受験産業の事情を見ていきたい。

学童代わりに塾に通わせる

 公立小学校では高学年になると学童保育に子供を預けられなくなる。そのため、塾に通わせて、学童の代わりにしている家庭が首都圏では増えている。週に何日も通わせるのだから授業料は馬鹿にならない。

  また、共稼ぎ家庭は、専業主婦がいる家庭ほどには子供に手間をかけらない。

  「子供が保育園の頃は上司も“ほら、早く帰って”という気遣いをしてくれた。しかし、小学校高学年になると、そういう配慮はしてもらえない」(40代中学受験生の母親)

  塾に通うだけでは学力は身につかない。宿題をキチンとやる必要がある。その宿題は親が見てあげる必要がある。

  だが、夜の7時8時に帰宅した親が、家事もしながら、子供の宿題を見るのは至難の業だ。子供も小学校の高学年になれば、自我が芽生え、親の言う通りに勉強はしなくなることも多いだろう。

  さらに、塾に通わせることで、弊害がでてくることもある。

  ある塾の関係者がいう。

  「塾で仲良くなった友達から遊びに誘われて、勉強が疎かになることがあります。うちは小規模な校舎なので、僕らがそのあたりもちゃんと見張っているんですが、規模が大きいところだとそうもいかないでしょう。また、親御さんが忙しいと子供の変化に気づけないこともあります」

塾の宿題をやらせるために、さらに塾に通わせる

 「専業主婦のように、子供に手間をかけられない」という働く母親が増えたために、今、増えてきているのは小学生向けの「個人指導塾」だ。

  難関校受験に強い中学受験対策塾のサピックスは、宿題の量が多いことでも知られる。

  宿題をこなせなくて落ちこぼれる子も出てくる。しかし、親は多忙で ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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