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中学受験夏の陣 塾・学校選びのトレンドは(下)

加速する共学人気の背景には「AI(人工頭脳)」の影

杉浦由美子 ノンフィクションライター

  中学受験の事情について3回にわたって書いている。最終回の今回は、受験動向について書いて行こう。来年の受験はどうなるのだろうか。

弁護士も医師も「AI」に仕事を奪われる

  この数年で教育のトレンドは大きく変わりつつある。キーワードは「AI(人工頭脳)」である。

  AIは将来的に弁護士や医師といった専門職の仕事のほとんどをこなすようになると言われる。そうなると、人間はなにをすればいいのか。AIの管理をする仕事と、AIができない仕事をすることになっていく。

  どんなにAIが進歩しても人間をケアする仕事はできない。AIには共感力がないからだ。つまり、子供を育てる上で重要なのは他者への共感力を身につけることだ、というのが現在の教育のトレンドだ。

  医師も、患者の症状を聞いて薬を処方する作業はすぐにAIが肩代わりするようになろう。AIは最新の薬の情報を正確に持っているから、人間の医師よりも的確に処方していくだろう。

  しかし、精神的なケアの部分は人間の医師しかできない。

  現在も医師で最も稼いでいるのはケア力がある人たちだ。最も医療費を落とすのは、難病や重度の症状に苦しむ患者だろう。その患者の中には治る見込みがないケースもしばしばある。そういう患者に対して、医師がすべき重要な仕事のひとつに「治る見込みがない事実」を受け入れさせることがある。それをするためには、医師は高度なコミュニケーション能力が必要となる。それが出来る医師しか稼げない時代が将来やってくる。

  そのため、教育熱心な保護者たちにとって、子供に学力だけではなく、共感力を身につけさせたいと考えることがトレンドになっている。この流れの中で、中学受験でも「共学校人気」に拍車がかかっている。

共学人気の質が変化

  『ダイヤモンド・セレクト』(ダイヤモンド社・2017年8月号)は『中高一貫校・高校 大学合格力ランキング 2018年入試版』という内容だが、その中で、森上教育研究所代表の森上展安はこう述べる。

入学予定の親子が参加した小石川中等教育学校の説明会=2006年3月、東京都文京区拡大入学予定の親子が参加した小石川中等教育学校の説明会=2006年3月、東京都文京区
  「中学受験界でもっとも話題の出来事は、最難関校である女子御三家から共学校への合格者流出が顕著な動きになってきたことだろうか。(中略)御三家の1つでは合格発表当日に追加合格を発表する事態が生じている。その数30人。毎年合格者が1人も欠けることなく入学式に臨むのが当たり前だった学校に何が起きたのか。

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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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