メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

『セシルのもくろみ』はむしろバブル感が足りない

マーケティングにおいてAV業界と同じ失敗をフジテレビはしつつある

杉浦由美子 ノンフィクションライター

『セシルのもくろみ』に主演している真木よう子=2015年4月25日、東京都渋谷区拡大『セシルのもくろみ』に主演している真木よう子=2015年4月25日、東京都渋谷区
 『セシルのもくろみ』(フジテレビ系)が木曜日22時放送にもかかわらず、初回視聴率が5.1%(関東地区)という低数字を記録し、話題になった。今クールのゴールデンタイムのドラマで初回最低視聴率だ。2回目は4.5%、3回目4.8%、4回目4.4%と低空飛行を続け、5回目ではとうとう3.8%と3%台に突入した。

  前評判は高かった。直木賞作家・唯川恵の原作で、人気女優の真木よう子が主演。惣菜屋でパートをしている主婦が、雑誌の読者モデルになり、ファッションの世界で成功していくという話だ。

  フジテレビは2014年に同じくファッション誌業界でのサクセスストーリー『ファーストクラス』(沢尻エリカ主演)を成功させているのだから、視聴者も期待は大きかったはずだ。エンディングテーマの映像はスタイリッシュでかっこいいし、また、真木よう子の前髪を上げた顔は実に可愛い。

  低視聴率の理由として、ネットニュース等では「フジテレビの得意とするバブリーなテーマが時代遅れ」「真木よう子の空回りの演技」などと指摘しているが、それはやや違う。

  今回はコンテンツ制作の視点から『セシルのもくろみ』の視聴率苦戦の理由を考え、それを通して、TVドラマ全体の不振をみていきたい。

主人公がモデルになる理由が分からない

  「すべてのドラマの第1話は必ずみます。面白ければ続けてみます。最近だとやっぱり『逃げ恥』は勉強になりましたね」と語る女性編集者。何十年もフィクション作品を手がけてきた。

  この編集者になぜ『セシルのもくろみ』が低調なのかを訊いてみた。

  「テーマが古いというけれど、だったら、『黒革の手帖』(テレビ朝日系)だって“今どき銀座かよ”っていう感じです。それでもちゃんと視聴率取れているんですから、テーマの古さはドラマの質に関係ないんです」

  では、なにが『セシルのもくろみ』を低視聴率にしているのか。

  「脚本や編集がひどいですね。時間を割いて描くべきシーンが早足で、 ・・・続きを読む
(残り:約1727文字/本文:約2621文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
デモクラシーやJournalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

杉浦由美子の新着記事

もっと見る